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ドウイタシマシテ。

挿絵(By みてみん)


【 ───はどこへ行ったのかねぇ……


 大丈夫、───は強い子だから…… 】



 これは夢か?……じいちゃん、ばあちゃん……


 俺がいなくなって心配してるのか。


 当たり前だよな……


 でも俺、やらなきゃいけない事があるんだ。


 ごめんな、じいちゃん、ばあちゃん。


【ハルちゃん!】


 あぁルイか……可愛いなルイは。


 せめて夢の中でくらい……


 ……


 夢の中のルイも柔らかくて気持ちが良いな……


 ん?なんかやけにリアルだな。


「ハルちゃん……?」


 俺がルイに抱きついた格好で目が覚めた。


「お、おはよう……」


「うん、おはよ。寝ぼけてたの?」


「ご、ごめん……あ、そうだ学校行かないと!」


「ふふ、今日は休みだよ?」


「そうだっけ……?」


 昨日の夜、サクラに起こされたせいで眠い。


 “ピンポーン”


 呼び鈴……こんな朝早く誰だろう。


「ちょっと見てくるね、はーい。」


 ……

 

 あぁ、眠い。


 学校がないならもう一眠り……


「ハル、起きる。」


 横目で見るとマクシルが立っていた。


「お、マクシル、これも夢か……」


 するとマクシルが俺の耳を引っ張ってきた。


「ハル、夢じゃない。起きなさい。」


「イテテ、ん?なんでマクシルがこんな所にいるんだ?」


「遠くでハルを見つけたから来た。」


「そうか、レーダーみたいに分かるのか……お休み。」


 目を開けていられない……


「ハル、散歩。そうすれば目が覚める。」


「いや俺は……」


「行く。」


 そう言ってマクシルは俺の手を引っ張った。

 ホント、逞しい子だな。


「ごめんルイ、ちょっと散歩に行ってくるよ。」


「ハルちゃんパジャマ……行っちゃった……」


 ……


 ……


 マクシルは目が見えないから俺がエスコートしないと……と思っていたが杞憂だった。


 視覚補助に特化した端末とマクシルの力によって問題なく行動出来ている。


「マクシルは偉いな、俺じゃ到底出来ないよ。」


「出来なければ生きていけない。」


「そうだな、でも偉いよ。頑張ってるんだな。」


 そう言って頭を撫でる。


「……ハル、もう大丈夫そう。良かった。」


「あぁ……心配かけてごめんな。」


「昨日、ハルらしくなかった。」


 マクシルには隠せないよな。


「……ごめん、俺さ──」


「ハル、言わなくてもいい。」


「……」


 俺は昨日あった出来事を頭の中で再生した。

 これでマクシルには伝わるだろう。


「ハル……」


「何が正しいのかはよく分かんないけどさ、俺はみんなが笑って暮らせる世界が見たいんだ。理想論だって言われると思うけど、理想を追いかけなきゃ近づけないもんな。」


「ハル、怖くなかった?」


「その時はな。今は怖いよ。俺の力は簡単に人を壊せる。これから先どれだけ人を──」


「言わないで。ハルの心、痛い程分かる。私はハルの味方。何があっても。」


「ありがとうマクシル。俺には守らなきゃいけない場所があるから、だから頑張るよ。」


「場所……」


「ルイとマクシルとゲスがいるあの空間が今の俺の大切な場所なんだ。みんなは何があっても俺が守るからな。」


「ハルは誰が守る?」


「えっ?」


 そんな事、考えたこともなかった。


「ハル、しゃがんで。」


「ん、こうか?」


 するとマクシルは俺の頭を撫でてくれた。


「ハル、どんなに体が強くても心はみんな同じ。いつか壊れる。」


「マクシル……」


 俺よりも小さなその体でマクシルは抱きしめてくれた。


「ハルが好き。だから無理しないで、分かった?」


「う、うん……」


 女の子に好きだなんて言われると流石にドキドキする。


「ハル、ドキドキしすぎ。」


「ごめん……ありがとう、もう大丈夫。」


「あっ、ハルちゃんこんな所にいた……パジャマのままだよ?」


「うわーマジか、恥ずかしい……」   


「ほら、みんなで朝ごはん食べよ?」

 

 ……


 ……


 朝飯を3人で食べる。

 もうヒロの作る料理には戻れないな。

 というかあれは料理なのか?


「美味しかったー、な、マクシル。」


「……」 

 

 マクシルは何も言わないが綺麗に食べ終わり手を合わせている。


「良かった、お粗末様でした。」


「そういえばマクシルは何でうちの同好会に来たんだ?」


「端末に広告が入ってた。普通文字は端末が読んでくれる。今時音声付の広告なんて珍しいから。」


 あのギラついたパチンコ屋の広告が役に立つとは。

 世の中分からないものだ。 


「でもこうやってマクシルと仲良くなれて良かったよ、来てくれてありがとう。」


「…………ドウイタシマシテ。」


 照れ隠しに俯いている。

 まるで片言だ、言い慣れていないのだろう。

 

 その時端末に連絡が入ってきた。


「誰だろう……ゲスだな、どうした?」


「ハルさん今どこにいるんすか?誰もいなくて寂しいっす。」


 あぁ、一人で部室にいるのか。

 ん……?部室……?


「悪いな、もう少ししたらみんなで行くよ。」


「早く来てくださいっす!大きい声じゃ言えないっすけど会長が居座ってるっす……」


 そこで通信が切れた。


 あー、面倒だな……

 あの人なんか苦手だし。


「俺先に行ってるよ。なんか面倒な予感するから。ルイ、マクシル、ありがとう。」


 シュンッ 


「あっ、ハルちゃんまたパジャマで……」


「……」


 ……


 ……


「だからもうすぐ来るっすよ!」


「早くあの人を呼びなさい!」


 シュンッ


「お待たせ、なに口論してるの?」


「ハルさん、この人が……ってパジャマ可愛いっすね。」


「えっ?やべーまたパジャマか……」


「……そこの貴方は出ていきなさい。私はこの方と二人きりで話がしたいの。」


「なんなんすかアンタは。」


 きりがないな、こりゃ。


「悪いなゲス、ちょっといいか?」


「ハルさんが言うなら……外行ってるっす。」


 バタン。


 この人と二人っきりか……

 まぁまだゲスには早いし、仕方ないか。


「……さて、何から話します?会長。」

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