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青春。


 ふと気がついたんだ。


 トイレについていなかった鍵の存在を。


 もしあの時気が付かなかったらどうなっていたんだろう。


 ……


 平行世界に来て1週間が経った。

 未だにこの世界の事には驚かされる。


 学校にも少しずつ慣れてきた。

 

 が、クラスではますます孤立している。

 それもこれもコイツのせいだ。


「ハルさん、焼きそばパン買ってきたっす!」


「あのなゲス、これじゃヤンキーの大将だろ。誰が焼きそばパン買ってこいって言った?」 


「すみません、コロッケパンの方が良かったっすか?」


「ふふっ、二人とも面白いね。」


 あれからというもの、ゲスが付いて回るようになった。


 文明人が一般人、それも2文字に従えている光景はこの世界の連中からみたら異様なんだろう。


 おかげで普通の学校生活なんて夢のまた夢だ。


「ハルちゃん、そろそろ同好会を決めないとだけど決まった?私は去年も入ってないから今年は決めないとで。」


「へー、そんなのあるんだ?」


「端末にお知らせ来てるはずだけど……ハルちゃん見てる?」


「あー……今度見ておくよ。ゲスはどうすんの?」


「自分はハルさんと同じのにするっす!」


「聞いた俺が悪かったな。ルイは?」


「私は……その……」


「ん?」


「ハルちゃんと一緒がいい……かな。」


 あらあら、仲のよろしい事。


『それでは私がハル様に同好会一覧をお見せします!どうぞ!』


「おー、こんなにあるのか。どれがいいかな……」


 ものすごい数だ。

 正直よくわからないものが多数だが……


「前から思ってたんすけど、ハルさんのそれってなんすか?」


「サクラ、俺のオーベイだ。」


「オーベイ!?やっぱハルさんすごいっす……」


「他の人に言うなよ?言ったら炭にするからな。」


「了解っす!」


「今日の放課後一緒に見にいこ?」


「そうだな、ワクワクするな。」


 ……


 ……


『という訳で放課後になりました!』


「サクラ、誰に言ってんだ?」


「ハルさん、どこから行くんすか?」


 何しろ数が多いし敷地は広い。

 見てまわるだけで3日以上かかりそうだ。


「うーん……ヴァンの同好会とか見ていいかな?」


 ……


 ヴァン同好会はこの学校でも上位の人気だ。

 男女問わない、国民的スポーツらしい。


「こんにちは!新しく入りたい人かな?って君は……」


 受付のねーちゃんの顔が引きつってる。

 ゲスがいるせいだろうか。  

 何やら1番偉そうな人が来た。この人がリーダーだろうか。


「げっ、雷帝じゃん……おい、丁重に帰ってもらえ……」


 聞こえてるっつーに……

 つーか雷帝ってなんだ?


 何かと理由をつけてやんわりとお断りされたので他のところに行く事にした。



 しかしその後も

 

「ちょっとウチでは……」


「他、どうかな?」


「いやー、ウチだと厳しいかなぁ……」


 どこへ行っても断わられる。


 ……


「どいつもこいつも人を化け物扱いしやがって……大体雷帝ってなんだよ。」


「かっこいいっすね、雷帝。」


「炭になりたい?」


「……他の子が話してるの聞こえたんだけど、この前ゲスくんのお友達と揉めた時に、見た事もない巨大な雷と共にまるで光の速さで動いてたから……だって。」


「ナルホドね……」


 なんだっていいがこのままだとどこにも入れない。


「困ったなー……せめて二人はどっか入ったら?」


「いや、自分ハルさんがいないなら興味無いっす!」


「私も……」

 

「ルイさん気が合いますね!」


「ふふっ、そうだね。」


 なんだかんだ二人が仲良くなれて良かったな。


「ハルさん、とりあえずコーヒー飲みます?」


「そうだな、ちょっと一息つく……これだ!」


「?」


 …… 

 

 ……


 〜学長室前〜


「ハルさん、こんな所来てどうするんすか?」


「ちょっとな、おい門番。」


【……なんだ貴様か。貴様は顔パスだ、入れ。後ろの二人は入るな。】


「ハルさんマジすごいっすね。」


「ホントね。」


 ……


「こんちはー。」


「ハルちゃーん、活躍は聞いてるよ?首席になって文明人やっつけて家来にしたんだって?」


 そうやって聞くと化け物だな……


「いや、まぁ成行で……今日は同好会の事で相談が。」


「いいよ、何やっても。そこで顔認証してくれればオッケーだから。」


 軽っ。そんなんでいいのかな……


《登録しました。》 


「困ったらいつでもいらっしゃい。」


 ……


 ……


「おまたせー。」


 すると二人で何やら熱弁している。


「こ、こう?」


「もっと体の中から引き出すんすよ、そうっすそれっす!」


【ドルルルルル  Dランク!】


「すごーい!ゲスくんのお陰だよ!」


「それほどでもっす。あ、ハルさんどうでした?」


「俺たちの同好会作れたよ。」


「えっ?私たちの?」


「その名も“BTC”」


「なんすかそのBTCって。」


「ブレイクタイム倶楽部、皆でお茶して仲良くしたくってさ。」


「ハルちゃんらしいね。」


「いいっすね!で、部室はどこになるんすか?」


「使ってない物置小屋があるからそこ使っていいってさ。」


「早速行きましょうっす!」


 ……


 ……


 学長に言われた空き小屋は主な校舎と離れた林が鬱蒼とした場所にあった。


「……すげーボロいな。」


「ハルさん、それ言っちゃダメっす……」


「とりあえず中見てみよ?」


 扉をあけると中は蜘蛛の巣が張り巡らされ物で溢れかえった部屋だった。


「やべーなコレ……」


「ハルちゃん、頑張って掃除しよ?」


「自分掃除苦手っす……」


「……とりあえず必要な物だけ外に出すか。」


 使えそうな机やイス、訳のわからないオブジェに絵画。

 それらしい物は外へ出した。


「よし……二人とも離れてて。」


 シュンッ


 二人が離れた事を確認して部屋の中だけゴミ置き場へとテレポートをした。


「相変わらずデタラメな人っすね、ハルさんは……」


「……でも私は好きだなぁ。」


「やっぱりそうっすか?見ててそうだと思ったんすよねー。」


「えっ?あれ?今私声に出してた?」


「……いや、何にも聞こえなかったっす。」


「うそだー!ハルちゃんに言わないで!ね?お願い!」


「大丈夫っす、口は硬いっす!」


 シュンッ


「ただいまー、全部捨ててきたよ。あれ、ルイ顔赤いけどどうした?」


「なっ、なんでもないよ!ありがと、ハルちゃん。」


「青春っす!」


 ……


 ……


「よーし出来た!」


 部屋を掃除し絨毯を引いて机と椅子を設置。

 なんとなくそれっぽく見えてくる。


「なんか達成感あるっす。」


「ゲスくん頑張ったもんね。」


「今日から俺達4人の小屋だ、よろしくな。」


『私も入れて下さるとは……(´;ω;`)ウッ』

 

 ──同好会、出来ました。

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