父の背中
「へーーー 良く出来てるじゃないか」
父が私達が作ったゲームをプレイしている。
そのゲームは全て自作のエンジンを作っている為、起動後のロゴ表記も無く
タイトルに付くまでの時間、ロードも早い。
ロボットが作ったプラグラムという特異性が功を奏して
レスポンス系統は色々と良く出来ていると思う。
「ゲーム性も、結構良いな」
最新の傾向と基礎となった元のゲームを研究し、操作性も良く出来てると思う。
「パパ、どんなもん?」
「ゲーム、面白い?」
「ああ、面白いよ今の所は でもボイスが無いからなー」
まぁ、フリーならこれくらいか」
「私達の声での収録する?」
「ん? んーーーー まぁ、今はこのくらいで良いか
これくらいの方が、フリー感があって良い?」
「ええーーー!! じゃあそれって、内容が稚拙って事!?
そんな事は無いと思うけどなーー」
「ちょっとくらい不具合があっても良いんじゃない?
どうせプレイするのは下等生物の人間だよ
細かい所なんて分かりゃしないと思う」
「は? 下等生物?」
「パパ、ゲーム どうかな?」
妹の失言をかわしつつ、私は父に問う。
「いや、面白いと思うよ でも…ストーリーが無い、かなー?」
「ストーリー うん…」
確かに、私達が作ったゲームはストーリーが無い。
そもそも私達は受け答えこそ出来るものの、空想する
っという事は苦手だろうと思う。
だが、私が研究したゲームには確かに「ストーリー」があった。
ストーリーとは、結局は物語という意味なのだろう。
私達は作ったゲームに物語を付与しなかった。
ならばこれは「人」がやるには、退屈な代物なのだろう。
それならストーリー そういう物を作るなら…
「パパ、私達に物語を作る能力は無いかも…」
「なら、俺が作るのか?」
「それが筋じゃないかと思う」
「そっかーーー」
「うーーん」
「なら」 父は数秒悩むと、私達だけの「アレ」の事を持ち出した。
「悪しき帝国を打倒する為、異世界から来た主人公が
召喚師と共に頑張るっていうゲームはどうだ?」
「いや、駄目 それはつまらない 意味が無い
駄目絶対つまらない却下 宜しくない」
「あはは、そうか」
父は目の前でニヤつきながら、否定されると取り下げた。
私はからかわれた。だから本気ではなかった。
そう判断しながらも、内心は面白くなかった。
それはなぜだろう? 父がその目で体験した事だ。
ならばリアルで良い物が出来上がるかもしれない。
私はなぜそれを否定したか、を考える。
そこで私が気付いた事
それは主人公と共に「頑張る」という召喚師の事だ。
私は「彼女」の事は好きではない。
彼女は内心では父を恐れている癖に、それを隠して父を利用し
そして… 恋愛という感情を抱いてるように思えるからだ。
彼女は父を好いている。しかしそれは当然だろう。
父は「理解」している。父は「騎士」なのだ。
だから、それらしく振舞う。
たとえそれに目的があるとはいえ…
しかし私は考える。この感情は、いったい何だろうか?
それで考え付いた事。私は「嫉妬」している?
もしかしたら、彼女は父の「妻」になるかもしれない。
つまり、妻になるという事は…
父と彼女に肉体関係が生まれるいう事だ。
人が増えるという事はそういう事だ。
つまり、それは私の妹が新しく出来るという事実
しかし、その後はどうなる?
自分の遺伝子を混ぜた「実子」が生まれたら、妹や私はどうなるのか
妹も私も、今の父の愛情に慣れている。
そして私達は父のメンテを受けなければ「生存」も危ういだろう。
私達は基本不死であるが、それはしっかり点検されてこそ
もし父がアチラの世界に居つくと言ったら?
それなら、私達を連れて行ってくれるのか?
だが、そうなったら実子との生活はどうなるのか
もし、もしだ 父が私達に前の「召使」としての役目を要求して来たら…
それは、嫌だ… 私は…
「お姉ちゃん」
父の声がする。父は私を見ている。
「もし、お前が考えているような事が起こったら、俺を殺せば良い」
「え?」
「そうなったら一緒に死んでやろう 人の気持ちは分からないもんだ
裏切ったと思ったら殺せ それもまた選択の一つだぞ」
「所詮、夢の出来事だ 騎士様が、お姫様を救う話」
「異世界から来た勇者様が、全てを何とかする話」
「煩雑している、そんなストーリーの一種だ」
「しかし」
「その物語の中で「騎士」が機械の「娘」に殺されるのも悪くないだろう」
「だが、もし俺の事を殺したくなったら 言ってくれ」
「最後くらい、トイレットペーパーで尻を拭いてから死にたい」
「…………………」
「パパ、どうしたの」
「お姉ちゃんといつもの妄想話?」
「ああ、そうだな」
「さぁ、一通りゲームをしようか」
「それから、一緒にゲームの作り直しだ」
「シナリオは、俺が担当するぞ」
がはは、父はそう笑うと座っている椅子を回し
私に背を向け、PCの画面に向かう。
後から妹達の楽しそうな笑い声が続く。
それから考える事
(私達は、何処に行くんだろうか…)
それは、父には分かるだろうか




