初めての「街」 物乞い少女
「お恵みを… 戦争で両親を亡くしてしまったんです」
「どうか… おめぐみを…」
チャリン
「えっ!? こんなに… えっと… あ、ありがとうございます」
「え? あ、何かくれるんですか? た、食べ物、です?」
「黒い…板 ? これは… えっと」
「あの…? あ、えっと… ありがとう、ございます…」
「え、服をくれる? あ、え… ありがとうございます…」
「ガッ? グゥ…」
「……… あの」
「優しくしてくれて、ありがとうございます」
「服、大事にします…」
私がそう言うと優しい奇妙な服を来た大男と、それの連れだろうか
双子の少女達が最後にこちらに手を振り、その場を後にする。
「銀貨3枚もくれた… これでしばらくは暮らせるなぁ」
私は静かに笑い、先程の人達に感謝をする。
見慣れない顔立ちの大男だったが、何処かの商人だろうか?
衣類も何処か見慣れなかったし… まぁ、今この街は帝国領だ。
そういう事もあるかもしれない。
しかしそれにしても、戦災孤児に銀貨3枚もやるなんて…
(ただ優しいのか、それとも世間知らずなだけか…)
帝国との戦争で親を亡くし数年… 今はこうして物乞いをしているか
その前は私だって家族はあった。
あの大男と同じ身なりをした少女達のように、親と共に物乞いだって見た事ある。
その時の私はどうだっただろうか?
彼等みたいに、優しくしたか?
(悲しいな… 落ちるって…)
いつもより多目に施しを貰った嬉しさもあるが
それ以上に空しさもまた大きかった。
私はいつこんな状況を抜け出せると言うのか…
(銀貨2枚は… 元締めに渡さなくちゃ…
これだけあれば… しばらくは…ないだろうな…)
心底やりたくない事を避けられる喜びに心を切り替え、私は街の路地を進む。
しかししばらく進んで、ん?っと思う物が見つかった。
「肉だ……」
それは、何かの肉だろうか…?
路地裏に積まれたぐちゃぐちゃの肉塊がそこに存在していた。
私はチラリとその肉があった建物の表を確認する。
「それ」があった建物は酒場だった。
つまり、この肉は何らかの問題があって投棄された豚か何かの肉だろう。
「今日はツイてるなーー」
私はその肉塊に手を伸ばし、いくらか頂戴する。
どうせ捨てるなら良いだろう。問題がある肉? そんなの関係ない。
肉なんてもうしばらく食べていない。腹を壊そうが… そんなの些細な問題だ。
「火は… まぁ、なんとかなるかな…」
そうして私は肉から滴る血を床に払うと、その場を後にする。
銀貨や服を貰うし、夕食のご馳走も手に入った。
今日は、やっぱり良い日だ。




