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機械じかけの私とお父さん  作者: ブラックサレナ
姉妹1 宗教好き
20/40

初めての「街」 探索


「や、止めてくれ!! こ、殺さないで!!お、俺には娘が!! 

 妻はもう居ないんだ!! 俺が死んだら娘が、が ギャッ!!」



あ、彼が帰って来た。手に持っているのは… 財布?

おそらく何処かから拾って来たのだろう。


路銀は何だかんだで重要な物 流石彼だ。


私達は街に近づいて、そして入った。彼のみすぼらしい衣装のおかげだろうか

特に怪しまれる印象は… まぁ、彼は2進を超える身長だ。


それ故チラリと見られはしたが、呼び止められるような事は無かった。

入った街の中は平和だった。人々も行き交い、賑わっていた。


そして街中では帝国の鎧を着た者が巡回し、辺りを警備していたが

彼らに緊張感は感じられない。


周囲の人々も特に暗い様子もなく

街の賑わいも前来た時よりも、若干賑わっているような気がする。


頭の帽子が代わっても… そんな言葉を何処かで聞いた事がある。

街は賑わっている。人々の生活も変わった様子は無い。


それならば、彼らに不満は無いのだろうか…

ここは、ほんの少し前まではグラストラの領土だった。


しかし今は帝国領… 

帝国は落とした領土の街などは基本的に自治を重視して組み込む。

そう聞いた。ならばやはり街の住民の生活は…


祖国の戦士として誇りを持っていた自分にとって、それはやはりショックだった。

彼等の生活に変わりが無いなら、私達がしていた事とはいったい…


チラリと彼の方を見る。彼はこちらを見ていなかった。

彼はキョロキョロと辺りを見回しながら、見知らぬであろう街を眺めている。


そんな彼の呑気さにちょっと、ほんのちょっとムッとしながら私達は街中を歩く

しばらく街を眺めていた彼の視線が集中する。


その先には屋台があった。 香ばしく油で揚げた魚のフライ

でも私はアレの事は知っている。そんなに美味しい物じゃない。

衣は油でギチョギチョ、身はパサパサでぐったりしている。


この街を北に進むと港町があり、そこからの魚介がここに流れてくる。


あの屋台が売っている魚は、流れてくる魚の腐りかけや

小さすぎて売り物にならない物を安く買い取って作った物


だから「小さすぎ」の魚が当たれば良いが

「腐りかけ」が当たり、尚且つ更に当たると腹を壊す。


そんな代物。


私も所見は物珍しさに買ったが、美味しくは無かった。

あれは下人が食べる物だ。彼が口にするような代物じゃない。


私はそう思い、屋台に進む彼の手を取り制止させ、首を縦に振る。



(駄目だよ) 


私は彼の顔を真剣な顔で… 尚且つ

そう真剣にならない程度に愛嬌を乗せて、見る。


それを眺める彼、そして優しい顔になって私に追従する。

着いて来る彼 前を進む私 私が前に…?


ああ、そうだ。私はこの場所を知っているけど彼は知らない。

なら、この場所では私がお姉さん? 


へへへ、そうだ、そうなんだろう。

彼には散々世話になった私だが、ここでは私がお世話する番だ。 


そう思うと何だか嬉しくなり、より強く彼の手を握って移動する。

目的地… えっと、それはどこが良いだろう?


ああーー …そうだ!! 情報を探すという事であれば

やはり泊まる為の宿が必要だろう。


それならーー えっと宿の心当たりは、無い…


なら、まぁ街を歩けば適当な宿も見つかるだろう。

私は彼が拾った財布の中身を見せてもらい、残金を確認する。


うん、結構入ってる。これくらいなら多少良い宿も取れるだろう。


安宿に彼を泊める事など出来ない。

でもあまり高い宿に泊まるのも懐が心許ない。


うーーん なら丁度良い宿を見つける必要がある。


これは、私の腕の見せ所だぞーー 


今の私は彼の役に立つ事が出来る。

その事実が何だか嬉しくて、私はにやついた顔で彼の手を引き、街を歩く。


「オイルフィッシュ、いかがですかーー? 使ってる油、結構上等ですよー!!」


道中、おそらく嘘を付いているであろう屋台の店子の声が聞こえた。


若い娘の声をして、毒魚を売り歩く。

ふふん、私はあんな物よりもっと良い食べ物を知ってるんだから


そんな小さな優越感に浸りながら、その傍を通り過ぎる。


「お父さん、遅いなーーー」


傍を通った瞬間、娘の呟きが短く聞こえた気がするが…

まぁ、どうでも良い事である。



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