表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/49

46




「さて、聞いておきたいことがあるんだ・・・」

「はんれふか?」

「・・・口の中の物を飲み込んでからでいいんだけど、今回狙われた『エメラルドの王冠』の持ち主の事なんだけどさ、何でもいいから知ってる事ない?」


僕たちは今、街の中心部にあったちょっといいレストランでランチを取っていた。そのついでに雑談、もとい情報収集に努めている。ちなみにランチはビュッフェスタイルで六十分食べ放題という物、小さく盛り付けられた料理にシェフの腕が光っている。比較的低価格でしかも食べ放題なのは、昼に客を集め夜に繋げるためのだろう。素材そのものは比較的安い物だが、調理の仕方が丁寧で至極上品な味わいとなっている。


「・・・んぐ、そうですね。余り、良い噂を聞きませんね・・・アークテック伯爵は。この前も贈収賄で騒がれてましたし」

「ふーん」


アークテック伯爵と言うのが、今回狙われた『エメラルドの王冠』の持ち主らしい。

僕はかぼちゃのポタージュを一口、口に含んだ。滑らかな舌触りとコンソメとかぼちゃの濃厚な味わいに僕の口腔は支配された。味を噛み締める様に舌を動かしても、不快な舌触りが感じられない。これは、丁寧に丁寧に濾した結果だろう。


「うまい」

「そうなんですか?スープって私あんまり好きじゃないんですが、お腹に溜まらないし・・・美味しいんだったら取ってこようかな・・・?」

「で、他は?」

「え?あ、アークテック伯爵の事ですか?・・・犯罪に関わってるとかなんとかって言う噂も聞いたことがありますね・・・ちなみに私達この街の兵士として、犯罪者は見過ごすわけにはいかないんですが・・・」

「証拠はない・・・と」

「はい。・・・相当なやり手、なんでしょうね」

「そうなんだ」


僕はスープ皿に残ったスープをパンで拭いながら答え、それを食べた。バゲットの皮のカリッとした食感に、日本人好みのするもちもちとした食感の中身、ただそれだけでも十分に美味しい物だったが、濃厚なスープを含んだことでその旨みが格段に増す。噛み締める度に舌の上に溢れるスープと弾ける香ばしいパンの香り。三つの感覚を存分に用いてそれを味わう。それらが食道を通り胃に収まる頃には、僕の口は次を求める。


「聞いてます?」

「ん?あぁ、次はサラダでもとってこようかな」

「いや、私の話なんですけど」

「あぁそっち、聞いてなかった」

「やっぱり!・・・それで、正直今回の事はいいチャンスだと思ってるんですよね」

「・・・まぁ、表立って敵の本拠地に入るチャンスだもんね。隠されるだろうけど」

「ですよねー」


どうにかならないですかねー。と、チラチラ僕を見てくるアレックスさんを席に残し、僕は料理を取りに向かう。安定のシーザーサラダも良いが、変わったサラダを食べてみるのもいい、おぉクラムチャウダーとかもあるのか。メインも幾つか取って行こう。ローストビーフいや、スペアリブか?鳥肉のソテーなんかも良いな。これは・・・?虫?うわっでかっ、芋虫ステーキ・・・。なしだな。マンガ肉・・・。これにするか、何の肉か分からないけど・・・。マンガ肉に憧れない男子は居ないだろうて!


「協力してくれって言うんだったらしないでもないけど」

「じゃあ!」

「その分、追加料金って事になるけども、良いのかい?」


僕はズビシ!とマンガ肉をアレックスさんに差し向ける。こら、奪おうとするんじゃない。


「えぇ~」

「えぇ~じゃない。仮にも一国の権力者を相手にするんだ。リスク相当の物を貰わなきゃならない」

「たとえば?」

「食材一年分だとか、高価な物品だとか、まんま金銭とか色々あるけど、情報には情報だろうね・・・そうだな、この国の派兵状況とか、予算案とか?」

「機密じゃないですかそれー」

「そう、要はそれだけの事だって訳よ」

「ぬぅ、じゃあ今回は諦めます・・・」

「とはいえ、偶然なんか見つけたらそれは渡すけどね」

「え、じゃあ!」

「見つかれば、ね?」

「あ、はい」


諦めてくれた様で何よりだ。しかし、アークテック伯爵と言う人は評判が悪いのか・・・うまっ!骨付き肉はタレによく漬け込んだものを焼いたようで、噛み締める度に肉汁が溢れ出てくる。肉汁とタレが絡み合い絶妙なハーモニーを奏でる。初めの内はタレの味が濃すぎるかとも思ったが、食べ進む内にどうしてもタレがしみ込まなかったであろう場所に行きついた。赤みがかったそこは、タレの味は極端に薄い、しかしそれを覆すほどの肉のうま味を封じ込めていた。そうか!このタレはこのうま味を封じ込める為の物だったのか!・・・とは言え、本人を見るまでその評価は下さない方が良いだろう。それは視野を狭める事になり、うまっ、かねない。


「うまっ。・・・っと、じゃあそろそろ行きますかね」

「あ、待って下さい!今デザートを!」

「一つだけですよ」

「はい!出来るだけ早く、味わって食べます!」


そう言って、アレックスさんはデザートのエリアへと向かって行った。


「あまっ!おいしいな。ここのプリン」


持ち帰りとか出来るかな?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ