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依頼主であるアークテック伯爵の館は所謂高級住宅街、いや、ここでは貴族街と言った方が適切かな?そんな所にあった。

造りは城と見紛うほどの立派な物で、シンメトリーのように見える。門を守る私兵にギルドからの紹介状を見せると手際よく案内され、正面のロータリーをの横を通り、正面玄関ではなくその脇にある使用人用の玄関から館内に入った。館内に入ってからはメイドに案内されとある部屋へと向かう。今現在は、長い廊下を歩いている所だ。左手に多くのドアが並び、右手には窓がありそこからは立派な中庭が窺える。窓から見える情報から察するにこの館はコの字型をしており、コの中央部分が中庭とすると右の縦線が正面で下の横線が現在歩いている廊下、上の横線が反対側で、天井の非常に高い二階建ての建物だ。


「こちらでございます」


そう言ってメイドはその部屋の扉を開いた。その扉は一目で分かる程に重厚で、破壊は困難なように見える。重苦しく開かれた扉の中には、数々の財宝や絵画、骨董品の類が収められていた。そして、この部屋の中央に今回の護衛依頼の品『エメラルドの王冠』が置かれていた。


「はぁ!?なんでお前がここに居るんだよ!!」


更に言うなれば、この部屋には既に何人もの先客が居た。僕のように依頼を受けた冒険者や、兵士の恰好をした人たちが居る。


「アレク!!」

「は、はいぃっ!!」


その中にアレックスさんの所属する衛兵隊もいた。衛兵隊の隊長さんも。アレックスさんにあーだこーだ言っていたと思ったら。こっちを向き、ため息を吐いた。え?なに?


「あぁ・・・結局ここに来るのか・・・」

「どういう意味です?」

「いや、こちらの話だ。来てしまったものは仕方がない。冒険者は自由なのだからな。くそっ・・・おいアレク、現段階では今回の事件の担当メンバーにお前は含まれていない。よって、引き続きコイツの監視を続けるように」

「は、はいっ!」

「で、冒険者であるお前には屋敷のパトロールを任せる」

「パトロールですか?『エメラルドの王冠』の防衛はしなくていいんですか?」

「あぁそういう事か・・・耳を貸せ、これは冒険者全員に与えられた仕事ではない。冒険者が総じて戦闘能力が高い事は、我々だけでなく全世界の人間が知る所だ。その戦力が国に属することが無い為に、ある程度の平和が今まで保たれてきた。アークトック伯爵はいくら、個人で今回の依頼を出したとしても、この国に対してそれなりの影響を与える人物だと言える。故に、ギルドは今回の依頼に対して人材を出すことをかなり渋っている」

「成程・・・それとパトロールにどういう関係が?」

「今回雇われた冒険者というのが、お前を含め九名しか居ない」

「それはまた・・・随分と少ないんですね」

「あぁ、アークトック伯爵は怒ってたが、こちらとしてはありがたい。で、だ。その九人、お前を除くと八名になるんだが、それぞれ四人ずつのパーティでな、それを崩してしまうと戦力が分散してしまう事になる。だから要所に置くことにした。ここと、門に」

「なるほど・・・で、一人余った僕はパトロール、または遊撃という事ですか」

「そうだ」

「なるほど、分かりました」


僕は頷き答える。


「じゃあ、早速行って来ます。この屋敷の構造を頭に入れて置きたいので」

「あぁ、使用人たちにはお前がうろついても気にしない様に言っておく」

「ありがとうございます。では」


そう言って、僕は『エメラルドの王冠』がある部屋からアレックスさんを伴って出て行った。


「・・・任せたぜ、ドラゴンロード」


小さな呟きが聞こえたような気がしたが、聞かなかったことにした。




恥ずかしいわ、その呼び方。




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