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「な、なんじゃあ~ありゃあ!!」


と道行く農民の一人が叫び声を上げ、空を指さした。それに釣られ周りに居た者達も空を見上げる。


「赤い・・・雲?」

「ちげぇ、ありゃ雲なんかじゃねぇ。・・・ドラゴンだ!!」

「ドラゴン!?」


そこからは速いものだった。来た道を大急ぎで戻る者、先の村々に伝えるために他の者に荷物を預け走り出す者、はたまたただ震えるだけの者・・・各々がその異常に対し行動し始めた。

その只中にただ一人、周りに流される事なく歩みを進めている者がいた。

皮に要所要所金属を当てた鎧という比較的軽装に、二本の長剣を背に差した冒険者風のその男は呟いた。


「今日は騒がしいな」


この男は天然なのか、はたまた大物なのかはまだ先のお話。


「お、リンゴ安い。おばちゃん!リンゴ一つくれ」

「あいよ10エルね、ってなんだいありゃ!!」

「10エルね、ほい。ドラゴンだって」

「ドラゴン!?あ、ありがとうね」

「ありゃ、店じまい?」

「そりゃあんな事になってたら当然でしょうが!!」

「・・・ふーん。ま、いっか。・・・ウマっ」


・・・大物なのかもしれない。





「とんでもない事になった・・・」


いや、実際は飛んでるんだが。

編隊を組んで飛ぶドラゴン達の先頭に居るクイーン・レッドドラゴンの背中に乗る僕はそう呟いた。

ちなみに、こんな所で平気で居られるのはクイーンが僕の乗る所を戦闘機のキャノピー(窓ガラスの部分)の様に結界で覆ってくれているからだ。

とんでもない事、とは言ったものの僕は事象を全て把握している訳ではない。と言うか何も知らない、火山洞窟でクイーンに会い、その上を飛び回るドラゴンの軍勢に驚いている内に、咥えられ放り投げられその背に乗せられ今に至る。


「一体何がどうなってる?」

『そうですね。今のうちに話しておきましょう』

「ん、念話か」『聞こえますか?』

『はい。まず今、私達が目指している場所・・・それはセントラルキャッスルです』


念話と言うのは、基本的にはプレイヤー間でなされるチャットの様な物だが、極稀に知能の高いモンスターもすることが出来る。プレイヤー同士であればPT、フレンド、クラン、そして個人と念話が出来る。

セントラルキャッスル・・・名前の通りこの世界の中心とも言える巨城だ。どのプレイヤーも一度はこのセントラルキャッスルに向かう。見た目こそ普通の城だが、とにかくデカい。と言うよりも、街全体が城であり、城そのものが街なのだ。勿論、一般人には入れない区画が存在し、その先には王族や貴族が住んでいたり、他様々な施設が存在している。これもまた崩壊大戦の時に出来た古代の民の遺産なのだ。それ故に、この巨城の端々に様々なハイテクノロジーが存在している。街をぐるっと回る魔道列車、各階を繋ぐ転移陣様々あるが・・・そして何より、緊急の際に発動される城全体を覆う防御結界。一度これが発動したのを見た事があるが、雨のように降る隕石の直撃を防ぎ切っていた。この防御結界によって、崩壊大戦の時も崩れる事無かった。まさしく最後の砦の様なところだ。


『セントラルキャッスル・・・何故またそんな所に?』

『契約を果たすためです』

『契約?』

『崩壊大戦が終結し、私達、魔族以外のすべての種族はある契約を結びました』

『その契約の内容は?』

『まだ教えませんよ。いずれわかる事ですし、ね?』


いずれ、か。いずれ分かる事としても、やはりどうしても気になる事はある。


『・・・分かりました。じゃあ、一つ、いいですか?』

『いいでしょう』

『貴女はドラゴンのクイーンで護衛が必要なのは分かります。しかし、これ程の数は要らないんじゃないんですか?』

『・・・ふふふ。それも、後で分かります』

『・・・なるほど、分かりました。ありがとうございます』

『これ位にしときましょうか。・・・では、飛ばしますよ!!捕まって下さい!!』


そう告げると、クイーンは一層強く羽ばたいた。




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