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巨大な扉の先には天井がぽっかりと空いた、巨大な空間が広がっている。ここが火山洞窟最深部であり、レッドドラゴンの住み家でもある所だ。

そんな巨大な空間の中でさえ異常な圧迫感を醸し出すモノがこちらに意識を向けた。


〔待ちなさい、人の子よ〕


威厳に満ちた女性の声が頭の中に響く。

な!?直接脳内に!?と、驚くのはこの様な事は今回が初めてであった為だ。ドラゴンは知能が高く人の言葉を解する者も居る。・・・というのは、前にも言ったと思う。しかし、基本的にドラゴンはドラゴン語とも言われる言葉で話しており、人間の言葉を喋れるとしてもそれは片言で非常に不明瞭なものである。〔オレサマ オマエ マルカジリ〕とかそんなものである。

しかし、このドラゴンは非常に流暢な言葉でしかもご丁寧に念話まで飛ばしてこちらに語りかけてきた。

しばらく僕の事をじっと見つめたかと思うと、また言葉を飛ばしてきた。


〔あなたですか、私の子供たちを数多く殺した者は〕


その言葉に自然と息が詰まるのを感じた。確かに今まで大量のレッドドラゴンを狩って来たからだ。


〔なぜですか?なぜ、私の子供たちを殺したのですか?〕


それは、普通のゲームなら根底から覆す様な質問。だが、この世界の住人敷いてはモンスター側からすれば至極真っ当な質問だ。

今までのレッドドラゴンの事を『私の子供たち』とそう表現するこのドラゴンに嘘も良い訳も通用しないだろう。

何よりも僕の心がここでふざける事を許さない。

故に、僕は・・・


「力、金、食料・・・これらの事の為に彼等を殺しました」


最も欲望に真っ直ぐな答えを述べた。





〔そんな・・・そんなモノの為に!!〕


雄叫びと念話が部屋を揺らす。頭が痛い。それを無理やり抑え込み僕は剣に手を掛ける。





しかし、いつまで経ってもドラゴンは襲って来なかった。





〔とでも言って暴れ出すと思いましたか?・・・落ち着きなさい、取って食ったりなんてしませんよ。おチビさん〕

「・・・は?」


おチビさん、だと?いや、そこじゃない。どういう事だ?え、この流れって戦いになるんじゃないの?


「え?やらないんですか?」

〔えぇそうよ?やる意味がある?〕

「そりゃあ、自分勝手な理由で仲間を殺されてるから怒るのが普通かと」

〔何を言っているの、あなたは欲望に忠実なだけじゃない〕

「ですから、その欲の為に仲間を殺されて腹が立つのではと」

〔普通じゃないかしら?あなたの生活の為でしょ?食料は言わずもがな、金も、力も〕

「えぇ、そうですけど・・・」


確かに、ドラゴンの言うとおりだった。力に関して言えば少し違うかもしれないが、おおよそは生活、ギルドの為であった。

しかし、初めの時とは大きく口調が変わっている。声は


〔食べるために殺す・・・と言うのとは、あなたは少し違うかもしれないけれど、自然界では普通の事よ?〕

「そうですか」

〔それに、あの子たちは私たちの中でも罪を犯した子たちなの、それも私たちの故郷から追放される様な事をした・・・ね〕

「そうだったんですか」

〔だからと言って、言い訳とかしてたらちょっと懲らしめようとは思っていたのよ?〕

「へ、へー・・・そうだったんですか」


よ、良かった・・・素直に答えておいて・・・正直、このドラゴンに勝てる気がしない。精神的な物でなく、戦闘において微塵も勝てる気がしないのだ。見た目こそ、普通のレッドドラゴンより2~3周り大きい位だが、そこに内包されている力は僕などプチリと潰されそうな程だ。正確な強さは分かず、目には見えないが覇気の様なものを肌がピリピリと感じている。


「それで・・・あなたは、一体なんなんです?」


そして何より、頭に王冠の様な物を被っているのが普通のドラゴンな訳がない。


〔私?私は・・・女王よ、あの子たちのね〕


そう言って、ドラゴン―――クイーン・レッドドラゴンは頭をぽっかりと空いた天井に、空に向かって首を上げた。

僕もクイーンに倣って空を見上げる。


そこには、真っ赤な空が広がっていた。




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