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火山洞窟はその名の通り火山にある洞窟で、その中を上って行くとその先に今回の僕の目標であるレッドドラゴンの巣がある。火山洞窟と言うだけあって、溶岩の河があったり高温ガスが噴出していたりするが、それほど問題ではない。それらは見えているし音もするからだ。寧ろそれらに紛れて襲ってくる敵モンスターの方が厄介だ。(とは言っても、戦闘中にモンスターに突き飛ばされて溶岩にダイブしたり、充満したガスに気付かずに窒息したりという事も有り得るので注意は怠ってはいけない)火山という過酷な環境に適応したモンスターは、植物など殆ど無いに等しい故か鉱物を食べたり、あろうことか溶岩の中を泳いだりするのだ。こんな場所で魚と戦ったりするのだ。
基本的にここのモンスターは火や高温に強く、逆に水や低温には弱い。だからと言って直接それらをぶつけても大ダメージになる訳ではない。正確には一瞬当てただけでは無意味だ、という事だ。現実で言う所の、熱い物でも一瞬触っただけでは熱くないのと同じだ・・・と言うかその真逆だ。
冷やし続けるとだんだんと動きが鈍くなり、最終的には動けなくなる者も居る・・・とまぁ、そんな感じだ。だが、それをこの環境が許さない。なぜなら火山洞窟だから、周り溶岩だらけでアッツイから!!
とまぁ中々にシンドイ所なのだ。
「・・・ふぅ・・・ふぅっ!!」
アツイ。地獄の様だ。地獄行ったこと無いから知らないけど、多分地獄級だ。一応体感温度を下げるアイテムは存在してはいるが、火山洞窟の強烈な暑さはそれを上回る。冷却アイテムを使用していてもこの暑さ、噴き出る汗が冷たく感じられる程だ。
しかし、その地獄の中に容赦なくモンスターは襲ってくる。正直勘弁してほしい。
「鬱陶しい、全く!!うらああぁああっ!!」
手に持ったハンマーをぶん回し、モンスターを吹き飛ばす。その反動で自分もグルグルと回る。いくら筋力のステータスが上がっても自分の重量が増えない限り重い武器には体重を持って行かれがちだ。以前言った初心者は全ての武器を使える、というのはステータスを満たしている限りと言うのと、特殊な武器以外という但し書きが付く。例えて言えば、剣は使えるが蛇腹剣は使えなかったり、拳銃やアサルトライフルは使えるがスナイパーライフルは使えないといった所か。要は特殊な訓練が必要な物は使えないという訳だ。
それはさて置き、モンスターを倒したので一旦休憩する事にした。最もシンプルでかつ最も重要なアイテム『水』を飲みながら、アルマ謹製のサンドウィッチを頬張る。うまい。この世界の料理アイテムにはその出来によって福次効果が付く場合がある。回復力増強や攻撃力アップといったものから下痢や目眩といったものまで様々だ。勿論、出来の良い物にはいい効果が付くし、悪い物には悪い効果が付く。それを利用して逆に、バッドステータスを敵に仕込むための罠の様な使い方も出来るが・・・まぁ、それは特殊な例だ。アルマはその点、作る殆どの料理にプラスの効果が付く。このサンドウィッチの効果は自然治癒力アップだ。ソロの戦闘が多い自分には回復という一番隙を見せる場面を出来るだけつくりたく無い訳で、かなりありがたい効果だと言える。これから挑むレッドドラゴンだって、何度も戦っている相手とはいえ気は抜けないのだ。
さて、今回の目標はレッドドラゴンだが、倒すことが目的ではない。図書館迷宮で竜が何かを知っていると聞いたからだ。恐らく、メタルドラゴンを除くすべてのドラゴンを回り、情報を収集・統合する事で何かが分かるというものだろう。ここで何故メタルドラゴンを抜いたのかと言えば、メタルドラゴンが機械仕掛けというあからさまな人工物だからである。ドラゴンは人より遥かに寿命が長く、崩壊大戦を生き残った者も居るらしい。魔族の事を聞くならドラゴンに聞くのはいい手段だ。故に、今日は戦闘は無しだ。道中はバッタバッタと敵を薙ぎ倒してきたが、それはカウントしない。しっかりと戦闘の準備はしているが、しないにこしたことは無い。仮に戦闘になったとして、装備が不十分であった日には目も当てられない事になるからだ。
まぁ、相手はドラゴンだ。話せばわかる・・・はず。
「っし、心の準備おっけー。と言うにはちょっと不安だけど」
僕は目の前に立ちはだかる巨大な扉に手を掛けた。
あぁ!全て説明で埋めてしまった!!




