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「・・・ふぇ?」
「ふぇなんて言うの普段から?もう自然にしようよ。キャラ作らないで」
「ちっ、分かりましたよ。ちっ」
「あ、出来れば舌打ちは無しで、ほら一応僕雇い主だし?」
「はいはい。で、なんですか仕事って?」
僕がリンコちゃんを雇う事に決めて、今はホームへ向かっている。ウチで働かないか?とは言ったものの、やはりこういう事は相談が必要だからだ。
「いいわよ?」
それが、アルマの答えだった。まぁそれを予想して連れて来たのもあるが、随分とあっさりしたものだ。
「よし。じゃあ今日から君はここのウェイトレスさんだ。やったね!!」
「よしって、やったねって。決まってなかったの!?」
「うん。多分大丈夫だろうなーって思って」
「うんって・・・まぁいいわ、働けるんだし。いや待って、ウェイトレス!?」
「そうだよ?僕がこれから抜けるから代わりに働いて貰おうと思って」
「いやいやいや、それなら前の配達とそう変わらないんですけど?私、冒険者なんですけど?」
「うんうん。で、ここの奥って道場あるし、強い人も居るから、休み時間とか休みの日とかに修行するなり冒険するなりすればいいんじゃないかなー?って、そう思ったんだけどどうかな?いわばコネが出来るって訳」
「・・・なるほどね。配達じゃどうしても一般人相手が多かったから、確かにここの方が良いかも」
「それで、どうかな?ウチで働く?」
「はい、働きます。ご主人様」
「ご主人様?」
「え?だってここメイド喫茶でしょ?」
「違うよ」
「え?」
「え?」
「「え?」」
リンコの誤解を解いた頃にはもうログアウトする時間になっていた。ご飯を食べてお風呂に入って寝よう。
自室から、リビングダイニングに降りるとテーブルの上には今日の晩御飯がラップに掛けられて置かれていた。そして、その横には一枚の紙が、その内容は。
『レンジで温めて食べなさい。後片付けは自分でして下さい。あと、今後ご飯抜くようだったら自分で作らせます。 母より』
と言う、怒りに満ちた内容だった。ごめん、母さん。食器は家族分全部残っていた。
後片付けを終え風呂に入り、風呂上りの牛乳を飲んでベッドの中でゴロゴロしながら端末を見ると、天満兼丸の事がニュースになっていた。やはり、死亡は確認されているという。
とすると、アレはアレ自身が言うとおり、天満の分身とも言える記憶を受け継いだAIなのだろうか。そうなるとそれは、一大事である。記憶のコピー技術は未だ完成していないからだ。それを天満は技術として確立していた事になるからだ。ある意味、未知の技術とも言えるそれを持ったAIが、誰のあるいは何所の管理下にもなく自由に動き回っている。
各国政府は、AIの捕獲に全力を挙げている。と、そこまでニュースには書かれている。現在のマスメディアは余り力を持っていない、SAの「世界」のように電脳空間にまでいまや世界は広がっていて、広がり続けているからだ。「世界」にもマスメディアの支部がありその中で広告や番組を作ることで資金を得ている所もあるが、流石にその情報網を「世界」全部に広げる事は不可能だ。比較的マスメディアの中でも力を持っていると言われる様な所もあるが、そんなのは昔から全世界に拡大していた様な企業だけで、日本国内やそこらで力を持っていた様な所は軒並み力を失ったと言える。
そして、その力を持っている所はおおよそ、後ろに国と言う大きな力を持っている訳で、そんな所が発信する情報は国に管理されている。
そんな荒唐無稽な事を考えている内に、僕は眠っていた。
天満が造り出した「世界」の他にも、電脳空間は存在します。
サ○ーウォーズの様な所がいくつか存在していると思って下さい。




