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26 閑話~超能力~

お久しぶりです。そしてすいません。

就職は決まりましたが、未だに忙しい時期が続いております。

卒業制作ががががが・・・ですので、もう少し御待ち頂ければ幸いです。

少しずつでも書いたり、修正したりしていきたいです。




「ふぅ、一旦休憩するか・・・」


僕はログアウトボタンを押し、SAの世界から去る。毎日やっている動作だが、時々その動作に違和感を憶える事がある。違和感と言うのは「考え」という意味ではなく「感覚」という意味でだ。ログアウトボタンを押したとき、今まさにSAから僕が去ろうとしている時に、自分の体が自分の意思とは関係なく動いたような感覚がするのだ。自分の体は座布団に寝ているし、SAからログアウトしたとしてもスタート画面に戻るだけなのでそっちの体が動くはずもない。という事はつまり、SAの世界における僕の「体」が動いているという事だ。

ところで、ゲームをしていない間、自分の操作するキャラクターは何をしているのだろう?と考えた事は無いだろうか?もちろん、彼らは物語の中の人間なのだからシナリオ通りにしか生きられないし、死ぬことも出来ない。そこに、生活どころか生の字は無い。しかし、SAの世界では生も死もリアルタイムで進行している。復活魔法があったりはするが、現実とそう変わらない。誰が死んでも、居なくなっても世界は進行するのだ。

ここで一つ僕は考えた。別に大したものではない、「僕」がSAの世界から去る際、僕の「体」つまりアバターに僕の代わりが入るのではないか?というものだ。僕はこれを『俺ゴースト説』と呼んでいる。

僕の「ゴースト」が、僕の居ない間SAの世界で生活しているのだ。僕がいる時は冒険者として僕が操り、僕が居ない時はゴーストが只の住人として僕の体を操っている。そう、僕は考えている。


「まぁ、考え過ぎの妄想に近いかもだけど」


そう呟き、僕は思考を終える。ブラックボックスの電源を切り、端末を脱ぐ。


「おう、お疲れさん」


すると、ベッドの横にある机にあるディスプレイを眺めながら男性が声を掛けて来た。


「どうでした?データ取れましたか?」

「うむ、君は色々と経験の多いプレイヤーだからな、データも充実しておるわ」


と、語る男性は僕の通う大学の教授で、脳の研究をしている学者だ。ここはこの教授の研究室でその名もずばり『脳力開発研究』だ。未だ脳には解明されていない謎が多く、その稼働率も20%を越えていない。教授はSAをプレイした際、ある事に気付く。「この『魔法』や『スキル』は何の気なしに使っているが、その時脳はどうなっているのだろう?」と。

現実で可能な動きはSAでも可能だ。ならば、逆はどうだ?と考えた訳だ。勿論、世界の軍隊では、VRで訓練を積み、それと同じように実戦をこなす兵士が居たりする。

しかし、教授はあえて現実から乖離した状況での脳の動きをモニタリングする事で、脳の更なる可能性を引き出そうとしているのだ。それにSAは打ってつけだったのだ。

で、僕はというとそのモニターをしている。この大学にもSAをプレイしている人間は沢山いるが、僕はたまたま教授の授業を受けていて、SAのしすぎで寝不足になっていて居眠りしていた所を教授にたたき起こされその理由を正直に白状した所、モニターになるなら単位をやると言われて喜んで飛びついた訳だ。ゲームも出来るし一石二鳥だ。

ちなみに、他にもモニターは居る。実は、このモニターこそが『オプサラス』のメンバーで、この教授が『オプサラス』のリーダーである。

老若男女、様々な人のデータが必要でその層は厚い。師匠は教授と幼馴染らしい。


「さて、一旦休憩するかね。お茶を入れてくれたまえ」

「分かりましたー。緑茶でいいですか?」

「いや、今日はほうじ茶にしてくれたまえ」

「了解です」


お茶を入れていると、教授がテレビを点けたのか声が聞こえてきた。その声は、お昼のニュースを伝えている様だった。


『近年、世界各国で多発している超能力者による強盗や放火、窃盗といった犯罪が増えています。日本政府はそうした超能力者による犯罪に対抗するために、新たな対策チームを発足しました。そのチームは選抜された警察職員・自衛隊員から構成され、VRによる特殊な訓練を受けています・・・』

「超能力者ねぇ・・・全く、そういうのはゲームかマンガの中だけであって欲しかったよ」


と、教授が呟く。僕はマグカップにお茶を注ぎながらそれに答える。


「教授が小さい頃は居なかったんでしたっけ?超能力者」

「そうだ。・・・いや、もっと前から居るには居たかもしれんのだが、こんなにも開けっ広げになったのは最近の話だよ」

「最近と言うと?」

「まぁ四十年か・・・それ位前あたりかな?超能力者が世間一般に出てくるようになったのは」


四十年を最近と言う辺り、教授も超人染みている。齢80を越えているというのに、その体には未だ活力が満ち溢れている。師匠の日課という名の鍛練に週3程度の割合で付き合っているらしい。

話が逸れた。


「あれ?でも、それ以前にそういう本や映画はあったんですよね?超能力者がヒーローとして悪と戦う、みたいな。今で言う己の肉体を鍛え上げ並み居る超能力者を倒すマンガ的なやつが」

「あぁ、まさにそんなマンガもあったな。しかし、それはあくまでフィクションの世界だった。そこにリアリティなんてものは無かったな。まぁ私はそれが好きだった訳だが、実際現実になってみると、なかなかに面倒なもんだな」


そう、教授は締めくくった。




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