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薄暗い通路に光が差す。本選へと誘う扉が今開かれた。僕は歓声の中リングの中心へと歩く、するとマイクによって拡声された司会・実況の声が耳に入って来た。なかなかに煩いが、歓声も大きいのでそれだけの音量が必要だという事だろう。


『さぁ!!続きまして本選第二試合!!大鬼のメットと人族の・・・ん?なんて読むんですかねコレ資料が名前の所だけシミがついております』

『先ほど私がコーヒーを溢したからですね。はい』


今・・・なんだって?信じられないような言葉が聞こえた気がしたが、気のせいだろうか?


『なーーーーんと、選手の事が書いている大切な資料にコーヒーを溢してしまったのですか!!』

『誠に申し訳ない』


気のせいじゃなかった。何してくれてんだ。


『しかし!!他の情報はありますので大丈夫です!!そこにあだ名も書いておりますので!!』

『良かったです。怒られるんじゃないかと思いました』


おい、いいのかそれで。


『ヒソヒソ(んな訳ねーだろ、後で俺んとここい)』

『ヒソヒソ(で、ですよねー)』


よしよし、もっと言ってやれ。


『大鬼のメット!!彼は今大会が初出場となります!!所属クランは『東宝発見伝』!!中堅クランでアタッカーとして活躍しております!!どうですか?解説のスズキさん』

『大鬼の巨体から繰り出されるパンチはそれだけで脅威でしょうが、『オーラ』も扱えるなら更にその脅威度は増すでしょう。予選では『オーラ』を使ってはいませんでしたが、本選ともなれば使用してくるでしょう』


ふむふむ、メットと言うのか彼は。あの巨体に似合わない声と話し方だったが、戦い方は見た目通りと見ていいみたいだな。


『それに対するヒューマンは悪名高きクラン『オプサラス』の経営するレストランでウェイターとして働いています!!本名は分かりませんが、そこではワカと呼ばれているそうです!!どうですか?見た所、初心者のようですが?』

『今まで彼は表舞台に立つことは余り無かったようですね。クラン戦でも後ろの方に居たとか・・・。予選では『投擲』をメインに戦っていましたが、それだけではないようです。隠し玉を他に持っているのかいないのか、ともかくその殲滅力はすさまじいものがあります。見た目に騙されると痛い目に遭うかもしれません』

『と、いう事で・・・。観客の皆さんはどちらに賭けるかもう決めましたか?間もなく、締切りですよ!!3、2、1、はい!!締切りです!!ただ今オッズの計算中です』

『もうしばらくお待ちください』

『出ました!!メットのオッズは1.12、ワカのオッズは4.88!!大きく分かれましたねー』


うわ、凄い差だな・・・。大穴狙いで僕に賭けた人も居るってことか。


『約80パーセントの人がメットに賭けた計算になりますね。私はワカに賭けました。勝って下さいワカさん』


お前かよ。何か途端やる気が無くなったぞ。


『私は手堅くメットの方に賭けましたがねーあまり配当には期待できませんね』


まぁ勝ったとしても儲けは無いだろうしね。なんか気の毒。っておい、お前ら遊んでんじゃねーよ仕事しろ。


『それはさて置き、さぁ!!いよいよ本選第二試合スタートです!!』



■■■■■



3・・・

2・・・

1・・・

Fight!!


開始の合図と共にメットが駆けてくる、その手に武器は無い。見立て通り拳で戦うのだろう。その拳の間合いは巨体と相まって、剣を持つ僕とそう変わらない広さだ。拳は足元までしゃがんだり体を折り曲げたりしない限り届かないが、だからと言って足元が弱点と言う訳でもないだろう。足も木の幹の様に太い、その足で蹴りを放たれたらひとたまりもない。牽制に胴、肩、足と狙いをつけてナイフを放ったが、胴に向かった物は横から叩くようにして落とされ、肩に向かった物は躱され、足に向かった物は踏みつけられた。ならば、と本数を増やしてみたが、そもそもその場から離れる事で受ける事すらされなかった。メットが、『タックル』の体勢に入る。『タックル』は体術系『スキル』で割と早い段階で手に入る。少しの溜めは必要だがダウン効果、ノックバック効果を持つ。体術系の初めの基本戦術として、『タックル』で相手の体勢を崩し掴みかかってタコ殴りというものがある。見てる分には爽快だが、やられる側としては堪ったもんじゃない。ので、早々に範囲から退く。瞬間、傍を大型車が横切ったような風が抜ける。こわっ。冷や汗を流しつつ、背中がガラ空きだったのでナイフをこれでもかと投げる。プスプスと刺さるが、大鬼の強靭な肉体を前にしてはかすり傷程度の様だ。


「もーなんで避けるんですかー」


少年の可愛い声だが、ドッスドッスと此方に向かう足とブンブンと振り回される腕は至極凶悪だ。


「そりゃ避けるでしょう。あんなの受けたら吹っ飛んでしまいます」

「むぅ、やっぱりモンスターとか予選みたいにはいかない?」

「ですです」

「なら本気で行くよ!!」

「あんまり頑張らないでほしいな!!」


割と切実に!!




大鬼メット君。中身は小学4年生、素直な少年。年の離れた兄が開いたクランに所属している。兄弟仲は極めて良好。戦い方は兄に学んだ。



修正しました

(誤)メットのオッズは4.88、ワカのオッズは0.2

(正)メットのオッズは1.12、ワカのオッズは4.88

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