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お館様の代理人 呪いの館を相続したはずが館にめちゃくちゃ世話焼かれてるんですけど!  作者: zingibercolor
第1章

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流石に半グレには渡せないんですけど

 何日かゆっくり過ごして、少し元気が出てきた。今朝はすっきり目覚めたので、茶葉二倍練乳ドバ入れミルクティーをマグカップでぐびぐびやりながら、ここでなるべく楽しく暮らしていくにはどうしたらいいかなと考えている。

 この館は栄えている駅に近い。調べたら、駅ビルにお店がたくさん入ってるし、それとはまた別にショッピングモールがあるし、横浜で一番大きい無印良品まであるそう。私、お金の心配だけはないし、電動車椅子で行動範囲広げられるかもしれないし、いつかパン屋さんのおいしいパンとか買いに行きたいな……。

 すると、ぷるるるる、とスマホに着信があった。画面には星野茜と出ている。すなわち、私の父方の伯母さんからの着信。

 小さい頃からかわいがってくれたおばさんだ、私が両親を亡くした時何くれとなく気にかけてくれたし、私も信頼して、かなりの額の遺産を受け継いだ事を話した。いきなりどうしたんだろ、最近は新しい友達ができたとかで喜んでたけど……。


「はい、もしもし?」


 電話に出てみると、茜おばさんの憔悴した声が聞こえた。


「真希ちゃん、ごめんなさい、お願いがあるの」

「どうしたの?」


 なんだろう、何か困ったことでもあったのかな?


「本当にごめんなさい真希ちゃん、お金を貸してほしいの」

「どうしたの!?」

「あんが、横領しちゃったからお金を貸してっていうの、2000万円」


 あんはおばさんの娘の名前で、私の従姉である。私はため息をついて言った。


「いや、それ絶対詐欺よ茜おばさん」

「だって電話があって、あんの声で、本当にあんの声で」

「今、声なんて生成AIでいくらでも作れるから。あんお姉ちゃんにかけなおしてみて、本当だったら貸すからまずかけなおして」

「だって、あんの電話番号よ、本当よ」

「それ、事前に「電話番号かわりました」みたいな連絡こなかった?」

「何でわかるの!?」

「そうやって犯人の電話番号に誘導するのよ、前の方の電話番号にかけてみて」


 茜おばさんはしょぼしょぼとした声で言った。


「アドレス帳の方変更しちゃったわ……」

「じゃあ、私のアドレス帳のあんお姉ちゃんの電話番号LINEで送るからそれに電話して、それで本当だったら貸すから」

「じゃ、じゃあ一旦電話切るわね」

「うん、すぐ送るから」


 LINEで茜おばさんにあんお姉ちゃんの連絡先を送る。しばらく待っていると、また茜おばさんから電話があって、済まなさそうな声で言われた。


「詐欺だったわ……あん、そんな電話してないって……」

「そうでしょ?」

「ごめんなさいね真希ちゃん、本当にごめんなさい」

「いいからいいから。悪い人はいっぱいいるから、気をつけてね」


 私は努めて明るい声で言った。茜おばさんはなんにも悪くないわけだし、私は茜おばさんといい関係でいたい。


「本当にごめんなさいね……」

「本当に気にしないで、なんにもなかったんだから。そっちどう? 新しい友達とは仲良し?」


 茜おばさんの新しい友達は、神社の手伝いしてる若い女の子と聞いてる。私はオカルトなんて信じてないけど、とっても霊感がある子なんだとか。

 茜おばさんの声に、少し元気が戻った。


「うん、仲良しよ、最近その子小さい子を引き取ってね、とってもかわいい子なの」

「へえー、孫とどっちがかわいい?」

「それは流石に孫だけどねえ」


 苦笑交じりの声が聞こえる。よかった、茜おばさん元気になった。

 それからはお互いの近況を楽しくやりとりして、電話を切った。

 ……ていうか。私オカルトなんて信じてなかったけど、今私めちゃくちゃ幽霊のいる館に住んでるな!? しかも守護霊ばりに助けられてるなその幽霊に! もし何かあったら、私こそ茜おばさんの友達を頼るかもしれないぞ……? 

 しかし、しゃべったら疲れた。置きっぱなしで冷めた紅茶を飲もうとすると、なぜかマグカップが温かい。え!? なんで冷めてないの!?

 カップを置いてた机を触ってみると、カップの下の部分だけ熱い。熱が移った感じじゃなくて、明確に加温されてる! お館様ってこんな事も出来るの!?

 思いついて、机の裏を触ってみたらこっちはキンキンに冷たい。何!? クーラーの逆反応!? 机の表を温めた代わりに机の裏は冷えてるの!?

 じゃあ、館全体が涼しいのって……お館様が外に熱を捨ててるから!? ど、どういう謎パワー……?

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