↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お館様の代理人 呪いの館を相続したはずが館にめちゃくちゃ世話焼かれてるんですけど!  作者: zingibercolor
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/29

一緒にやれたら嬉しかったんですけど

 これからずっとこの館で暮らしていくわけで、なら自分の部屋をもっと暮らしやすくしようと思って、服をたっぷりかけられる引き出し付きハンガーラックをAmazonで注文した。この館のこの部屋のインテリアに合うような、アンティーク風なやつ。まあ、服かけるって言っても、服は普段着兼寝間着のゆるゆるワンピースばっかりだけどさ。

 で、ハンガーラックは大過なく届いたんだけど、当たり前だけど梱包されたブツが重い! 宅配ボックスから玄関先になんとか引きずり込んで、ひとつひとつの部品に分け、ひとつずつ電動車椅子で部屋まで運んだけど、それだけでもう疲れた。

 さて、ここから組み立て。作業のお供に、いつもチェックしてるVTuberの配信のアーカイブ流そう。

 タブレットを操作。水色の髪をサイド長めのショートボブにした制服の少女が、にこっと微笑んでこちらに手を振り、かわいらしい高い声で恒例の挨拶を始める。


「地球のみんなこぉにゃにゃちわ〜! 生で見てくれてる皆さんもアーカイブ勢の皆さんもどうもありがと〜! 今週もロジの『おやすみロジック』ラジオ始まりまーす! 今週のオープニングトークはー……サーティーワン!」


 彼女の声を聞きながら部品のネジを出し、一緒に買ったドライバーのどれが対応するのか確認していると、彼女はおすすめアイスについてド早口のマシンガントークをし始めた。


「だからロジはサーティーワンのダイキュリーアイスの話がしたくってぇ! すっごく甘酸っぱくてさわやかで、本当に夏にぴったりなアイスなんですよぉ! それなのに大半の人は漬物味とか化粧品の味とかプラスチック味とか歯医者さんの床のタイル味とか言うのぉー!!」


 3Dの体をいっぱいに使って全身でしゃべる、彼女はVTuber柴胡サイコロジー。12歳の中学生……のフリをして人間の心理を調べに来た異星人、という設定。まあ、トークが盛り上がってくると中の人の背景がバリバリ透けてくるけども。

 柴胡ロジーは2018年に個人で活動開始。高いトーク力と企画力で登録者数を伸ばし、2019年に大手VTuber事務所に所属。元々の才能に大企業のサポートが合わさって向かうところ敵無し、企業勢になってから歌唱力とダンス力も伸ばし、今ではアイドルとしてだって売れっ子。登録者数は300万人超え。

 ラジオの帝王ばりのトーク力を繰り出す雑談配信、気が進まない作業をするのにちょうどいい。

 推しというのとは、少し違う。あなたがVTuberになる前のことをよく知ってる。でも、それだけ。おもしれー女がおもしれーままで活躍してくれててうれしいよ、昔友達でいてくれてありがとうね。

 柴胡ロジーの喋りを聞きながら、小さい引き出しから組み立てていって、引き出しが全部できて、引き出しを載せるレールもできて。

 それから服をかける部分の重い部品を並べて、組み立てようとして、説明書見ながらやってもすごく重労働で。ヒイヒイ言いながら半分くらい組み立てて、改めて説明書を読んだら、「2人で組み立ててください」の文字を見つけた。

 しばし呆然。いや、もう無理ー! 体力切れたー!!

 気持ちが折れた。ついでに柴胡ロジーの配信も最後の挨拶が終わった。


「それでは地球のみんな、忘れ物はないかなー!? 今度もロジの宇宙船で、ロジと握手!」


 もうどうでもよくなって、私はすべてをほったらかして寝てしまった。で、起きたらなんとハンガーラックのすべてが出来上がっていた。


「お、お館様……?」


 わざわざ組み立ててくれたの? いや、お館様も一人だと思うんだけど……。

 私は、とりあえず虚空にお礼を言っておいた。でもさあ、二人で組み立てるやつなんだからさあ、私が起きてるときに出てきてもらっても、その上で二人で協力して組み立てるんでも、私は一向にかまわなかったんだけどな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。