こんなお別れ絶対嫌なんですけど
九さんにLINEで相談したら、午後に電話がかかってきた。経緯を相談したら「千歳と伝手があったのか!?」と驚かれてしまった。
「えっと、伯母の友達でして……有名な人なんですか?」
「あそこまで強い怨霊もおらぬ。まあ、あ奴はどちらかというと殴る要員じゃがのう」
「本人もそう言ってました」
「しかし、あ奴も何もいないと言ったのじゃな」
「はい……」
「妾もあの家に何も感じなかった。霊的な存在はいないと言えるほどに。用心深く隠れているのかもしれぬが」
「千歳さんにまた相談して、探知がうまい人をお願いしたほうがいいでしょうか?」
「それがよいじゃろうな、霊力の探知に長けたものなら見つけるじゃろう」
そういう訳で話はまとまって、私は金谷千歳さんに、お金に糸目はつけないから霊力の探知がうまい人に頼みたいとお願いした。
『でも、お金に糸目付けないって言ったら、一括で500万円とかになりますよ?』
「払えます」
『払えるんだ……じゃあ急ぎます』
金谷さんは本当に急いでくれて、翌日には探知に長けた人を連れてきてくれた。30半ばくらいの女性は村上真奈と名乗って、昨日の金谷さんと同じように各部屋を調べてくれたが、昨日の金谷さんと同じように困った顔で帰ってきた。
「霊的な存在は、一切いませんね。幽霊だけじゃなく、妖怪や妖精、そういった類いもいません」
「いない……? で、でもいたんですよ!?」
それとも、こないだのことで愛想尽かしていなくなっちゃったの!?
金谷さんが、私を気遣わしげな目で見た。
『あの、ワシ旦那がいまして。すごく物知りで頭がいいんですけど、気になること言ってて』
「え、なんですか?」
「妖怪か霊かは置いといて、{お館様}って呼ばれてる存在は確かにいたわけですよね」
「はい」
「強盗倒してから姿見せないってことは、いなくなったっていうより、ケガして動けないとか、悪くすると死んじゃってるとか、そういう可能性も考えたほうがいいんじゃないかって」
「し、死んじゃってる!?」
あんなにお世話になった人が!?
『そういう考えもあるってだけのことですけど、そういう可能性も踏まえてよく観察してみた方がいいって言われて』
「そんな……」
お館様……お館様、死んじゃったの?
金谷さんと村上さんが帰っていって、私はどうしていいか分からなくて館中を見て回って、そして窓枠が少し埃っぽくなってるのに気づいた。お館様は、本当にあれから何も動いてないんだ……。
私はふらふらと部屋に帰って、呆然と座り込んだ。
「死んじゃったの……? お館様、本当に死んじゃったの……?」
涙が流れた。
そんなに長い時間じゃなかった。でも、助けてくれてすごくありがたかったし、うれしかった。何より、一人じゃないって思えた。これからこの館で暮らすに当たって、とっても心強かった。
それなのに、あんなにお世話になったのに……お館様、死んじゃったの?




