詳しい人なら言うことないんですけど
私は、机にペンとメモを置いて、虚空に言った。
「何かあったらいつでもこれに書いてください、絶対に読みます」
そうやって丸一日経ったけど、メモには何も書かれていなかった。どうしたんだろう、へそ曲げちゃったのかなあ……。
気持ちが整理できなくて、私は茜おばさんにLINEした。
「時間があるとき、電話してもいい?」
そしたら、すぐ電話がかかってきた。
「どうしたの、真希ちゃん」
「実はこの数日大変で……話聞いてほしくて……」
私は、茜おばさんに強盗のことを話した。
「そんな事があったの!? まあまあ、怖かったでしょう!」
「怖かったけど、助けてくれた人がいて……いや、うーん、人なのかわからないんだけど……」
「どういうことなの?」
「その……信じてもらえるかわからないんだけど、信じてくれなくてもいいんだけど……」
「どうしたの?」
私は、{お館様}のことを話した。これまで何くれとなく助けてくれていたこと、強盗にあったときも助けてくれたこと。だけど、透明なスライムの姿を見せたその日から、一切の反応を示さなくなったこと。
茜おばさんは、真剣に聞いてくれた。
「それは……その、実のおじいさんではなさそうなのね?」
「うん……なんか、館の精みたいなものかなってなんとなく思ってるんだけど」
「あのね、私のお友達、そういうのに詳しいわよ?」
友達?
「あ、神社の手伝いしてる子?」
「そうそう。その子明日連れて行くわ」
「そんなに詳しいの!?」
「うん、怨霊だけどとっても明るくて元気な子よ」
「怨霊!?」
怨霊と友達なの!?
「おばさんもねえ、いろいろ経験してるのよ」
「そ、それでお館様のこと信じてくれたの!?」
「そうね」
「そうなんだ……」
驚いたけど、そう言えば九さんも怨霊はいるって言ってたな。意外とその辺にいるのかも。
茜おばさんはすぐその友達と連絡を取ってくれて、翌日にその人に家に来てもらうことになった。




