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お館様の代理人 呪いの館を相続したはずが館にめちゃくちゃ世話焼かれてるんですけど!  作者: zingibercolor


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それとこれとは話が別なんですけど

 翌日は案の定熱を出し、だけど20時間睡眠で気合いで下げた。それからは、引っ越し見積もりとガス水道電気の手続きをして、弁護士さんに言われた遺産相続と名義変更と相続税支払いの手続きに目を回して。まだできてないこともたくさんあったけど、初めて館を訪れてから半月後、私は館に引っ越してきた。こんな大変なこと、体力の無い人間にさせないでほしい……。

 7年前、ハタチの時にぶっ倒れてから、私から体力というものはなくなってしまった。何が悪かったんだろう? 高校でも大学でも、1日3時間睡眠でバイトと勉強に明け暮れてたせいかな?

 あまりにも体力がなくて、1日に3時間動ければいい方。あまり動くと、翌日熱が出る。しかも、12時間寝ないと寝不足で動けない。

 大学は休学のち中退、就職できるわけもなく、バイトしても体力が持たず倒れ、ずっと実家の世話になっていた。だけど両親は5年前に交通事故で死んだ。母方に叔父、父方に伯母がいるからギリ天涯孤独ではないけど、そんなに頼れないし……。

 館には引っ越すけど、実家はそのまま。処分すべきだけど、とてもそこに回す体力はない。

 幸い、お金だけはある。引っ越し業者には荷物梱包と運び込みと開封と設置を全部やってもらうコースにした。根城にする東館の部屋の隅に椅子を設えて座って、体力温存に努めつつ引っ越し業者さんに指示をする。


「ちっちゃい冷蔵庫、この部屋です、キッチンじゃなくて。はい、食器とポットって書いてある箱もこの部屋です」

「電子レンジはどうしますか?」

「この部屋の冷蔵庫の上に置いてください。オーブントースターは電子レンジの上です」


 体力がない。館を歩き回らなくても済むように、なるべく、この部屋の中で生活を完結させたい。大学の時は6畳の部屋で暮らしてたし、8畳あるこの部屋ひとつだって、贅沢すぎるくらいだ。

 引っ越し作業が終わって、それから電気ガス水道の開通に立ち会い、すべてが終わって私は部屋のベッドに倒れ込んだ。

 放置されてたベッドのはずなのに、全然カビ臭くない。埃っぽくもない。この館、なんでこんなに何もかもきれいなんだろう? お館様 (仮定)が死んでも手入れしてるのかな。

 館全体、埃っぽくないし、こもった臭いもないし。定期的に空気の入れ替えしてないと、こうはならない。これもお館様……? お館様は館全体を見張っている……?

 私は、ハッと気づいて顔を上げた。


「えっと、お館様……いらっしゃるなら、お風呂とトイレだけはどうか見ないでいただけますか……」


 女として、それだけは死守しなければならない、助けてはもらったけど。それだけは、絶対に死守しなければならない。

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