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『世界のシナリオにハメられた「黒煙の魔女」の娘、一子相伝の【魔法障壁全貫通】で理不尽な運命もバカ王子もすべてブチ抜く  作者: ルツ


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9/20

学園のバカ王子と、最強の証明

 王立学園に入学して一週間。私の予想通り、偽りの英雄たちの子供──現・第一王子である『アルフレッド・フォン・ルミナス』からの嫌がらせは、実力行使という最高に分かりやすい形でやってきた。

「おい、平民の、しかも大罪人の不浄な血を引く娘レオナ! 貴様のようなバグが、我が聖なる学園に席を置くなど万死に値する!」 

放課後の大演習場。金髪を派手に編み込んだ、いかにも傲慢そうな少年──第一王子アルフレッドが、大勢の取り巻きを従えて私の前に立ち塞がった。彼の手には、学園公式の『魔術決闘状』が握られている。

「学園の規則に基づき、貴様に決闘を申し込む! 敗者は即座に自主退学、および王都からの永久追放だ! 拒否権などない!」

 わあ、テンプレ通りのバカ王子だ。前世のゲーム知識シナリオでも、彼はヒロインにすり寄る脳筋の攻略対象だったけれど、実物は輪をかけて頭が悪そうである。

「お嬢様。あのバカ王子が展開している決闘用の結界ですが、術式の構造が粗雑すぎて眩暈めまいがいたします。私が裏から財政的に圧迫して、自主退学に追い込みましょうか?」

「ジーク、いいのよ。向こうから公式の舞台を用意してくれたんだもの。ここで彼らの自慢の『正義の盾』を正面から粉砕した方が、今後の恐喝……じゃなくて交渉がスムーズにいくわ」

「……はい?」 

ジークがいつもの頭を抱えた呆れ顔を見せる中、私は一歩前へと出た。

「いいですよ、その決闘、お受けします」 

演習場の中央、結界に囲まれた決闘の舞台に、私とアルフレッド王子が対峙する。 

観客席には、私を特待生としてねじ込んだエリオットが「あぁ、やはり彼女は最高に刺激的だ……」とアイスブルーの瞳を輝かせて座っており、その横ではルシアンが「君に全貫通される王子の術式が羨ましい……!」と、昨日渡したタスク(調合)の寝不足の目で怪しく呟いている。

「ふはは! 後悔しても遅いぞ、平民め! 我がルミナス王家に伝わる、神の加護を宿した『絶対聖なる聖障壁ルミナス・シールド』の前に、貴様の下賤な闇魔術など、傷一つつけられずに霧散するわ!」 

アルフレッドが杖を掲げると、彼の周囲に、眩いばかりの光を放つ何重もの強固な防壁が展開された。 

確かに、一国の王族が誇るだけのことはある。並の魔術師なら、触れることすら叶わない完成された防御魔術だ。

「さあ、5大戦力をも超える我が王家の光の盾に、絶望して這いつくばるがいい!」

「……ふふ」 

私は思わず、小さく吹き出してしまった。 

5大戦力を超える、だって? 笑わせないでほしい。

「アルフレッド王子。あなた、何も知らないのね」

「何だと……!?」

「あなたの父親がハメて、この最果てに追いやった私のお母さん──『黒煙の魔女』はね、国の5大戦力の中でも【最強】だったのよ」 

私の静かな、しかし絶対的な確信を込めた声が、演習場に響き渡る。 

エリオットのお父上である【閃光】をはじめとする、国最高峰の5大戦力。そのバケモノたちの中でさえ、私のお母さんだけはさらに別次元の頂点に君臨していた。

あまりの強さゆえに、王室(世界のシステム)が恐怖し、制御不能のバグとして抹消せざるを得なかったほどの、真の怪物。

「そのお母さんの多層結界を『全貫通』して合格をもらった私の魔法が、あなたのそんな生温い光のオモチャに、弾かれるわけがないじゃない」

「寝言を──死ね、大罪人の娘!!」 

アルフレッドが逆上し、光の防壁をさらに強固にしながら、手元から無数の光の弾丸を放ってきた。 

私は一歩も動かない。右手をすっと前に突き出す。 

見つめる視界の先、王子の『聖障壁』の術式が完全に透けて見える。魔力循環の法則、結合の継ぎ目、秒単位の揺らぎ──すべてハッキング完了だ。

「──全属性ハイブリッド・極小精密・全貫通ハッキング・ブレイク」 

私の指先から、針の先ほどに研ぎ澄まされた、一筋の漆黒の閃光が放たれた。 

パキンッ────────!!!! 演習場全体が激しく振動し、世界がひび割れるような美しい音が鳴り響いた。 

アルフレッド王子が絶対の自信を持っていた『聖障壁』が、私の初級魔法が触れた瞬間、吸収することも反射することすら許されず、文字通り【全貫通】されて木っ端微塵に砕け散ったのだ。

「な……が、は……っ!?」 

割れた障壁の衝撃波をモロに食らい、アルフレッドは無様に床を転がり、壁に激突して這いつくばった。王冠は転がり、自慢の金髪は泥に塗れている。 

圧倒的な、文字通りの一撃。 

静まり返る大演習場。観客席の生徒たちは、何が起きたのか理解できず、口をあんぐりと開けて固まっている。 私はボロボロになって震える王子の元へとゆっくり歩み寄り、お母さん譲りの感情の読めない無表情(スン…とした顔)で、彼を冷徹に見下ろした。

「約束通り、学園を自主退学して、王都から出ていってもらえますか? 拒否権は……ないんですよね?」

「ひ、ひぃぃ……っ!」 王子は恐怖のあまり涙目を晒し、ガタガタと震えながら後ずさった。 

圧倒的最強だったお母さんの牙は、今、私という娘を通じて、偽りの英雄たちの子供のプライドを完膚なきまでにブチ抜いたのだ。「お嬢様、お見事です。王子の身ぐるみを剥いで路頭に迷わせるための書類(退学届)、今すぐ用意いたしますね」「ジーク、いつもながら手回しが早くて助かるわ」「……はい?」 ジークが本日一番の、嬉しそうな、しかし呆れた顔で深く頭を下げた。 王都を揺るがす私の「全貫通無双」の第1歩が、こうして華々しく刻まれたのだった。

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