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ケンケンと由美は息を切らせながら屋上に辿り着く。
屋上を見渡すとフェンス越しに遠くを見る真子の姿を捉えた。
2人は安堵しながら真子に近づいた。
真子はクルリと振り返り2人を見る。その顔はなんとも悲しい顔をしていた。
2人は直ぐにでも入来の事を尋ねようと思っていたが、そんな真子の顔をみて言葉を失ってしまった。
黙って真子の顔を見ていると真子から話を切り出してきた。
「ショーくんのことでしょ?」
2人は無言で頷く。
真子は歯に噛んだ顔を見せる。
「消されちゃった・・というか・・」
「連れていかれちゃった・・・・」
真子の言葉の意味がまったく理解できず困惑する由美。
「まこち・・どういうこと?」
「消されるとか、連れていかれるとか、わけわからないよ」
ケンケンも身を乗り出す。
「まこ殿!なぜ、クラスの皆んなは入来殿の記憶がないのでござるか?」
真子の目は寂しい。
「連れていったのは、私の師匠かも・・」
「天音って言うんだけどさ・・」
「あの人にそんな力があるなんて、知らなかったけど・・・・」
「昨日、ここでショーくんの未来を視たときに接触するのがわかったの・・・・」
「2人には記憶をなくしてほしくなかったから結界に入っておく様に伝えたの」
ケンケンは疑問を持つ
「なぜ、我とゆみ殿の2人だけにしたのでござるか?」
「他のみんなも結界に入れればよかったではござらんか!」
真子の顔は暗い。
「そうすると、クラスの全員を消しに来る可能性があるからだよ」
真子の言葉に2人は青ざめる
「まこち?その天音って人は師匠さんなのに敵なの?」
「敵ではない・・・・」
「と・・思いたい・・・・」
全く話が見えず2人は困惑を隠せない。
しかし、真子が言葉を選びながら話しているのは分かった。
不用意な事を言ってしまうと消されてしまうのだろうとケンケンは察していた。
真子はクルリと背中を向けてフェンス越しの暗い雲を眺める。
「2年前・・ここで自殺した女の子・・覚えてる?」
「吉田・・晴美さんだよね・・」
「その子を救おうとした子がいるんだ・・」
真子は再び身体を反転させて2人を見る。
「野元真実って言うんだけどね」
「その子もタイムリープしてきたんだよ」
「吉田晴美を救えなかったことで、心の中に闇が生まれた」
「私はその闇を祓わなければいけない」
真子は俯く。
「まことの闇を祓うために、あなたたちが必要なの・・・・」
「だから2人を巻き込んでしまった・・・・」
「ごめん・・・・」
真子が深々と頭を下げる。
由美は困惑が拭えない。
「まこち、そんな、頭を下げないで」
ケンケンはメガネをクイクイさせる。
「まこ殿、巻き込んだのは今に始まったことではござらん」
「我はまこ殿にいっぱい助けてもらった」
「いっぱい学ばせてもらった」
「今度は我らが助ける番ですぞ」
ケンケンの力強い言葉に由美も力強く頷く。
「そうよ、まこち」
「最初はなんて力を与えてくれたのって思ったけど・・」
「今はこの力に感謝してる」
「ケンケンとも仲良くなれたしね」
真子は顔を上げて2人を見る。
2人とも頼もしい顔で真子を見つめ返していた。
「2人ともありがとね」
「わたしは・・みんなの未来が視れるけど」
「自分の未来だけは視れないの」
急なカミングアウトに由美は驚く。
「えっ?そうなの?」
「今まで視えてると思ってた・・・・」
「私の未来は貴方達から視ているの」
「だから、貴方達が消えてしまうと私の未来も見えなくなってしまう」
「2人には消されてほしくない・・・・」
「このあと、何ヶ月後かに、まことは姿を現す」
「その日までにもっと力をつけてほしい」
「お願いします」
真子は再び頭を下げた。
由美は力強く拳を握る。
「もっと結界の精度をあげていくわ」
ケンケンもメガネのクイクイが力強い。
「我も腕を磨くでござるよ」
来るべき決戦に向けて3人は結束を強めるのだった。
厚く暗い雲の隙間から光が差し込み、天使の梯子が伸びていた。




