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ホームルーム。
原田は出席簿を片手に、やる気のない声を出していた。
「んじゃー、体育祭の諸々決めるぞー」
クラスの返事も、死んでいる。
「はーい・・・・」
「だる・・・・」
「帰りたい・・・・」
教室中に、やる気のない空気が漂っていた。
真子は、その様子を見て首を傾げる。
「・・・・あれ?」
「学園祭の時と、テンション真逆なんだけど」
莉英奈は机に頬杖をつきながら、ため息混じりに答える。
「そりゃそうでしょ」
「体育祭なんて、スポーツ推薦組の独壇場だもん」
玲子も肩を落とす。
「あいつら、こういう時だけ異常に張り切るんだよね・・・・」
「しかもヤル気出せば出すほど、こっちは冷めたコーヒーだよ」
澪は諦めモードだった。
「ギャフンと言わせたい気持ちはある」
「あるんだけどさぁ・・・・」
自分の足を見る。
「身体がついてこないのであります・・・・」
クラス全員、静かに頷く。
誰も反論しない。
その空気の中――
真子だけは、周囲を見渡していた。
「ふーん」
軽く呟く。
「でも今回、結構いいとこまで行けるよ?」
「「「「「・・・・えっ?」」」」」
空気が変わる。
全員が、一斉に真子を見る。
「今なんて?」
「いいとこまで?」
「行ける・・・・だと?」
真子は頬杖をついたまま、平然と続ける。
「私の見立てだとー」
「最後の種目までもつれるね」
ざわっ――
教室が騒つく。
玲子が身を乗り出す。
「ちょ、マジで言ってる?」
澪も目を見開く。
「え、ワンチャンある感じ!?」
真子は軽く肩を竦めた。
「今のままだと、最後のリレーで負けるけどね」
「でも、勝つ方法はあるよ」
教室の空気が、一気に変わる。
原田すら、少し興味を持った顔をした。
「・・・・石本」
「体育会系の連中にリレーで勝つのは無理だぞ?」
クラスも頷く。
「そうそう」
「足の速さが違いすぎるって」
「人類のカテゴリ違うもんあいつら」
だが真子は、まったく気にしない。
「特訓は必要だね」
「あと――」
ニヤリ。
「人選」
「人選?」
真子は、ゆっくりと教室を見渡す。
そして――
指を差した。
「MMORPG三人衆」
「由美」
「玲子」
「澪」
「ケンケン」
「んで、私」
「この8人でいく」
シーーン――
一瞬、教室が静まり返る。
次の瞬間。
「はぁぁぁぁ!?」
「よりによって足遅い奴らばっかじゃねぇか!!」
「終わった!!」
「逆にどう勝つんだよ!!」
大騒ぎだった。
由美は青ざめている。
「ま、まこち・・・・」
「私、ほんと無理だって・・・・」
「走るとすぐ転ぶし・・・・」
真子はニコリと笑う。
「大丈夫」
「みっちり特訓してあげるから」
由美、さらに青ざめる。
「それはそれで怖いんだけど・・・・」
その時だった。
ガタンッ!!
イスが吹っ飛ぶ勢いで、3人が同時に立ち上がった。
MMORPG三人衆である。
生徒A、メガネを光らせる。
「ギルドリーダーよ・・・・」
生徒B、拳を握る。
「よくぞ我らを選んでくれた」
生徒C、低い声で言い放つ。
「我らの脚力――」
「見せる時が来たようだな」
クラス全員、ドン引き。
「いや、お前ら脚力の前にさ、外に出ろよ」
「そうだ、まずは運動しろっ」
「ログインしかしてないだろ」
容赦ないツッコミが飛ぶ。
だが――
真子だけは違った。
スッ・・・・と立ち上がる。
そして。
三人衆へ向けて、静かに言い放つ。
「諸君らの――」
一拍。
「ジェットストリームアタックに期待しているぞ」
「「「「おおおおおっ!!!」」」」
三人衆、感動。
「イエス!!マイロード!!」
「この命に代えても!!」
「栄光を貴女に!!」
完全に変な宗教だった。
玲子は頭を抱える。
「ダメだ・・・・」
澪も遠い目をする。
「絶対、嵐の体育祭になる・・・・」
莉英奈は静かに頷いた。
「うん・・・・」
「間違いなく、ロクなことにならないね・・・・」
その予感だけは――
クラス全員、一致していた。




