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人生をやり直しますか? 〜YES or NO〜 【みんなの心の中が読み取れる少女は、やり直し高校生活でやりたい放題です】  作者: 相賜 奏合


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[81]

3年4組ーー


教室の扉が、ガラッと開いた。


ケンケンと由美が、息を切らして戻ってくる。


「みんなっ!」


その一言で、空気が張り詰める。


玲子が立ち上がる。

「どうだった?」


由美が、言いづらそうに口を開く。

「・・・・かなり、やばいかも」


ケンケンが続ける。

「退学の話が出ていたでござる」


「「「「「はっ・・・・?」」」」」


空気が一気に凍る。


理絵が顔を青ざめさせる。

「マジで・・・・?」


莉英奈が眉をひそめる。

「・・どういう流れ?」


ケンケンはメガネをクイクイさせる。

「教育委員長がかなり強硬でござる」

「校長も原田先生も、完全に押されている状態」


由美が小さく言う。

「・・まこち、全然反省してなくて・・・・」

「言い返して、余計に火に油って感じで・・・・」


玲子が頭を抱える。

「あちゃー、まこち・・やりそうだわ・・・・」


澪が立ち上がる。

「どうするの?」


沈黙。


誰もすぐに答えられない。


だが――


莉英奈が、ゆっくりと顔を上げた。


「・・・・行こう」


全員が莉英奈を見る。


「このままじゃ、本当に退学になる」

「だったら――」


一歩、踏み出す。


「止めに行くしかないでしょ」


玲子がニヤリと笑う。

「だな」


澪が拳を握る。

「行くぞ」


理絵と香織も頷く。


由美も、涙を拭いて前を見る。

「うん・・・・!」


ケンケンが静かに言う。

「全員で、行くでござる」


――決まった。


3年4組、全員で。



応接室。


空気は、最悪だった。


「ですから!!」

渋田の声が響く。


「前例がないんです!!」

「こんな問題行為、見過ごせるわけがないでしょう!!」


校長は、ただ頭を下げ続ける。


原田も同じだ。


そして――


真子。


椅子に座ったまま、窓の外を見ていた。


「・・・・」


(あーーあ)


小さく、ため息。


(退学かーー)


特に驚きも、焦りもない。


(ま、いっか)


(10ヶ月だったけど・・楽しかったし・・)


完全に、諦めていた。


その時――


バンッ!!


応接室の扉が、勢いよく開いた。


全員が振り向く。


そこに立っていたのは――


3年4組、全員だった。


「ちょっと待ったーーー!!」

玲子の声が響く。


「な、なんですかあなた達は!!」

渋田が怒鳴る。


だが、止まらない。


玲子が前に出る。

「まこちが退学なんて、納得いかないんですけど」


莉英奈も続く。

「まこちを退学にする理由、ちゃんと説明してもらえます?」


渋田が眉を吊り上げる。

「理由なら今――」


ケンケンが一歩前に出る。

「では確認でござる」


空気が一瞬変わる。


「今回の件で」

「被害届は一件でも出ているでござるか?」


「・・・・それは・・・・」

渋田が言葉に詰まる。


ケンケンは続ける。


「負傷者は?」

「重大事故は?」


沈黙。


「・・・・ありません」


小さな声だった。


ケンケンは頷く。

「つまり――実害はゼロでござる」


玲子が被せる。

「あとさ」

「被害者はさー」

「ここにいる全員だけど?」


「誰一人、まこち訴えてないんだけど?」


ざわ・・・・と空気が揺れる。


理絵と香織が一歩前に出る。

「怖かったのは本当です」

「でも・・」

「一番思い出に残ってるのも、本当です」


由美が、震えながらも前に出た。

「まこちは・・誰も傷つけてなんかいません!」


真っ直ぐに言い切る。


澪が笑う。

「めちゃくちゃだったけどさ」

「最高だったよ」


クラスのあちこちから声が上がる。


「楽しかったっす!」

「人生で一番記憶に残ってる!」

「もう一回やりたいくらい!」


「それはやめろ!!」

玲子が即ツッコミ。


空気が、変わる。


完全に――流れがひっくり返った。


渋田が、言葉を探す。

「し、しかし・・規律が・・・・」


莉英奈が静かに言う。

「あのー、修学旅行の翌日なんですけど」

「わたし、学校サボって」

「ネズミーランドに行きました!」


クラスメイト全員が莉英奈を見る。

莉英奈はニヤリとしている。


莉英奈の発言意図を察して皆が続く。

「俺もサボりました」

「わたしも」

「俺もっ」

皆が手を挙げて発言していく。


校長と原田も乗っかる。

「わしも」

「わたくしも」


渋田は押し寄せる波を必死に押し返す。


「し、しかし・・規律が・・・・」

「例外を認めれば、前例になるのよ!」

「あなた達の言い分で、ルールは曲げられない!!」


玲子が一歩前に出る。

「じゃあ」

「私たち全員、処分してください」

「全員、同罪なんで」


そこにいた全員が騒つくーー


莉英奈はペコリと頭を下げる。

「規律に反してますので」

「私たちを停学か退学にしてもらっていいです」


皆が続けて頭を下げる。

「「「「「退学にしてください!!」」」」」


沈黙。


誰も言葉が出せない状況。


時間が、止まったようだった。


真子はそんなクラスメイトを驚き見ていた。


(・・・・なに?)

(なんで?みんなそこまで・・・・)


ほんの一瞬だけ。

真子の目が、揺れた。


やがて。


渋田は、深く息を吐く。


「・・・・今回の件は」


「・・・・厳重注意とします」


皆は頭を上げる。


応接室は大歓喜に溢れる。


「「「「「うおおおおおおおっ!!!」」」」」

「「「「「やったぁぁぁぁ!!!」」」」」


校長が顔を上げる。

「よろしいのですか・・・・?」


渋田は校長をキッと睨む。

「校長と原田先生は許しません」

「先程、サボったと仰いましたよね?」

「サボり、職務放棄ということで、1ヶ月の減給を申請しておきます」


歓喜の中、校長と原田はガクリと崩れ落ちる。


渋田立ち上がり真子を睨む。

「石本さん・・」

「・・次はありません」


真子は、肩を竦めた。


渋田は何も言わずに応接室をあとにした。


クラス全員が、真子に駆け寄り囲んだ。


勝ち獲った歓喜の空気。


そして――


敗北、項垂れる校長と原田

「安月給なのに・・減給・・・・」


そんな横で、静かに真子が口を開く。


「みんな・・ありがとね」


莉英奈は笑顔で応える。

「クラスメイトなんだから、当たり前でしょ」

「みんな、今までまこちに散々助けてもらってるからね」


皆が笑顔で頷く。


真子は皆の笑顔を見渡し涙が溢れそうになるのを堪える。


真子の目に、涙が――


落ちかけた、その瞬間。


ブワァァァァァァァッ!!!


クラスメイト全員の心の想いが一気に真子へと流れ込んでくる。


【よしっ、これで今年も焼肉弁当ゲットだぜ】

【学園祭の焼肉弁当は私たちのもの】

【焼肉弁当美味しかったー、また食べたい】

【やっほー!焼肉弁当最強ー】


「・・・・」


涙、即停止。


スンッ(無表情)


「・・・・あんた達さぁ」

「私のこと・・・・」


「焼肉弁当にしか見てないじゃーん」


全員が、ギョっとする。

「やべっ!」

「こいつ、勝手に心を読みやがった」

「バレたぞっ、逃げろーー」


クラスメイトは一目散に応接室から逃げだした。


真子は溜息をつきながら立ち上がる。

「勝手に読んだんじゃなくて」

「流れ込んできたんだよー」

「ゆるさん!」

「みんな、待てーーぃ!!」


真子も応接室を出てみんなを追いかける。


応接室は校長、原田、莉英奈の3人だけになる。

原田は涙目。

「安月給なのに・・減給・・・・」


莉英奈は項垂れている校長と原田を見る。

「さすがに、先生が乗っかったらダメでしょ」


莉英奈は冷たく言い放ち応接室を出て、皆を追いかけていった。


3年4組は更に強固な絆を得たのだった。

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