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6人は、明らかに“怪しい動き”で園内を進んでいた。
「・・・・見失うなよ」
玲子が小声で言う。
「尾行ってもっとこう・・自然にやるもんじゃないの?」
莉英奈が呆れる。
澪は双眼鏡を構えていた。
「目標確認!現在ポップコーン売り場前!」
「いや双眼鏡いらんやろ!」
即ツッコミ。
その先――
由美とケンケン。
並んで歩いている。
ぎこちない距離。
けれど――
確実に近い。
理絵が小声で震える。
「・・これ・・・・くるんじゃない?」
香織が頷く。
「雰囲気、完全にそれだよね」
玲子、ニヤリ。
「・・・・全員、“しない”でいいな?」
皆は顔を合わせて、無言で頷く。
――最低な連携だった。
⸻
ベンチ。
2人が座る。
沈黙。
だが、それが心地いい。
ケンケンが口を開く。
「・・今日は、その・・・・」
由美が俯きながら答える。
「うん・・・・」
距離が、少しだけ縮まる。
影が重なる。
「「「「来るぞ・・・・」」」」
草陰で見守る4人。
そして――
顔が、近づく。
「いけッ!」
「やれっ!」
「いや止めろ!!」
全員、心がバラバラ。
距離――5cm。
3cm。
1cm。
その瞬間。
「うおおおおおおお!!!」
4人、飛び出す。
「ストーーーップ!!!」
「はぁ!?」
2人は完全に固まっている。
玲子が指を突きつける。
「今のはノーカンだ!!」
澪が頷く。
「うん、まだ触れてない!!」
理絵
「ギリセーフ!!」
香織
「アウトだけどセーフ!!」
「なんでござるか!?」
ケンケンは顔を赤らめて突っ込む。
由美も顔真っ赤。
「ちょ、ちょっとみんな!?」
「逃げるでござる!!」
ケンケンが手を引く。
2人、ダッシュ。
「逃がすなああああ!!」
4人、追走。
完全に鬼ごっこ。
⸻
園内を駆け抜ける。
ジェットコースター横。
パレード横断。
ポップコーンぶちまける子供。
「すみませーーん!!」
「謝ってる場合かーーー!!」
カオス。
⸻
物陰。
再び2人。
息を切らしている。
「はぁ・・はぁ・・」
「もう・・追ってこないよね・・?」
静寂。
ゆっくりと――
顔が近づく。
「・・由美」
「・・うん」
距離、1cm。
呼吸が重なる。
――その瞬間。
「いたあああああああ!!!」
「まだキスしてないぞーーー!!!」
「取り押さえろーーー!!!」
ケンケンは溜息混じりで愚痴る。
「なんで分かるんだよ!!」
再びダッシュ。
⸻
そして夕方。
観覧車前。
「・・ここなら・・」
ケンケンが呟く。
2人、乗り込む。
ゴンドラが、ゆっくりと上昇していく。
「乗れえええええ!!!」
4人、ギリギリで滑り込む。
中は――
6人が缶詰状態ーー
地獄だった。
「やめろおおおお!!」
「阻止しろーーー!!」
「いやー、もう、なんなのー!!」
「ネズミー人形のためだーー!!」
「観念しろルパーーン!!」
「誰がルパンでござるかーー!!」
狭い空間で大騒ぎ。
外から見るとただのカオス。
⸻
その下。
莉英奈と真子。
見上げている。
莉英奈、ドン引き。
「・・・・もうさ・・キスさせてあげれば?」
真子、肩を竦める。
「仕方ないなー」
スッ……
手を上げる。
パチン
パチーーン
連続音
観覧車の1台に
透明な壁のようなものが、ふわりと包む。
「・・・・今、何したの?」
莉英奈が首を傾げる。
「外部遮断」
「と、」
「内部分断」
真子が軽く言う。
「2人に結界張ったから、4人は介入できない」
「・・・・そんなことできるんだ」
莉英奈、ちょっと引いた顔で真子を見つめた。
⸻
ゴンドラの中。
ケンケンと由美は手を繋いだまま呆然としている。
静かだった・・・・
さっきまでの喧騒が、嘘のように消えている。
「・・あれ?」
ケンケンが周りを見る。
誰もいない。
「・・え?」
由美も周りを見る。
「・・2人だけ・・?」
2人は顔を見合わせる。
「4人・・入ってきた・・よね?」
沈黙。
夕焼けが、差し込む。
オレンジ色の光。
ゆっくりと、時間が流れる。
そのまま見つめ合う2人
「・・・・由美」
「・・・・うん」
距離が縮まる。
今度は――
邪魔は、入らない。
誰も、邪魔しない。
そっと。
唇が、触れた。
⸻
その外側。
ガンガン叩く4人。
「なにこれーーーー!!」
「なんで急に壁ができるのさーー!!」
「見えねえええええ!!」
「何やってるか分かんないいいい!!」
「くっそおおおおお!!」
「絶対今してるってえええ!!」
そして――
ふと、見えた。
一瞬だけ。
夕焼けの中。
重なる影。
「・・・・あ」
全員、固まる。
そして、理解した瞬間だった。
ゆっくりと、膝から崩れ落ちる4人。
「・・・・終わった・・・・」
「負けた・・・・」
「尊いけど悔しいよーー」
完全敗北だった。
⸻
下で見上げる真子。
満足そうに微笑む。
「ほらね」
莉英奈は呆れながらも、少しだけ笑った。
「・・あんた、ほんと・・・・」
「余計なことしかしないよね」
真子はニヤリとする。
「最高でしょ?」
莉英奈は肩を竦める。
「まぁ、これが」
「まこち、なんだよねー」
夕焼けの中。
観覧車は、ゆっくりと回り続けていた。




