[78]
ネズミーランド某所。
6人はテラス席に集まり、真子の提案した“賭け”について頭を悩ませていた。
「今日1日で、あの2人がキスするかどうか――」
玲子が腕を組む。
「・・・・普通に考えて、“しない”よね?」
澪が即答。
「しないっしょ」
香織も頷く。
「うん、あの2人だよ?」
理絵
「そんな急にキスとか・・・・ねぇ?」
由美の性格を思い出し、全員が同時に頷く。
「「「「「しない」」」」」
満場一致。
安全な判断のはずだった。
――しかし。
玲子が、ふと目を細める。
「・・・・待て、ちょっと待て!」
全員の視線が集まる。
「これ・・・・罠じゃね?」
「「「「「え?」」」」」
空気が変わる。
玲子は指を立てる。
「考えてみて!」
「まこちが、こんな“簡単な賭け”すると思う?」
沈黙。
「・・・・確かに」
莉英奈が小さく呟く。
玲子は続ける。
「“しない”って思わせといて――」
「実は“する”」
「そういうパターン、ありえない?」
「「「「「・・あっ・・」」」」」
全員の顔が強張る。
理絵
「え、じゃあ・・するの?」
香織
「いやいや、でも・・・・」
澪
「いや・・でも・・まこちだし・・?」
思考がぐるぐるする。
パニック状態。
その横で――
真子、ドン引き。
「いやいや・・そこまで深く考えてないんだけど・・」
「えっ?」
「普通に楽しそうだからやろうってだけなんだけど」
「えっ?」
「はよ決めなよ」
空気が一瞬で崩れる。
その時。
澪が、ハッと顔を上げた。
「・・・・あっ」
全員が澪を見る。
澪の目がキラリと光る。
「これさ」
「しないに賭けて」
「キスしようとした瞬間に――邪魔すればよくね?」
沈黙。
玲子の脳内に――
雷が落ちる。
バチィィィン。
「・・・・みお」
ゆっくりと振り向く。
「天才かっ」
澪、ドヤ顔。
「でしょ?」
玲子は拳を握る。
「よしっ!決まりだ!!」
全員が頷く。
「「「「「“しない”でいく!!」」」」」
理由――
邪魔するから。
最低すぎる結論だった。
真子は呆れたように肩を竦める。
「あんたら・・クズだね」
「しかも楽しそうなのがタチ悪い」
6人は冷めた目で真子を見る
「あんたに言われたくないんだけど・・」
そして、気を取り直して立ち上がる。
「よしっ?行くぞっ!!」
「ターゲット尾行開始ー」
「ミッション:キス阻止」
「絶対阻止!!」
――こうして。
夢の国で、最も夢のない作戦が開始された。




