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東都圏には、有名なテーマパークがある。
子供から大人まで――
一歩足を踏み入れれば、誰もが夢を見る場所。
その名も――
"ネズミーランド"
「うっしゃああああ!!」
「楽しもーーぜーーー!!」
今回3年4組は、壮大すぎるドッキリに巻き込まれ、修学旅行どころではなかった。
――その補填として。
特別に、ネズミーランドで丸1日遊べる権利を得たのであった。
⸻
園内のテラス席。
人の笑い声と、どこかで流れる軽快な音楽。
その中で――
真子、玲子、莉英奈、澪、香織、理絵の6人は、ぐったりと椅子に座っていた。
「・・平和だねぇ・・・・」
莉英奈がジュースを飲みながら呟く。
「昨日まで地獄だったのにね・・・・」
玲子が遠い目をする。
澪がストローをくわえたまま叫ぶ。
「ギャップがエグいって!!」
理絵はテーブルに突っ伏す。
「まだちょっと怖いんだけど・・・・」
香織は苦笑い。
「トラウマになりそうだよね・・・・」
そんな中――
莉英奈がふと思い出したように言う。
「でもさ、校長も粋よねー」
「帰る日伸ばしてくれるとかさ」
玲子も頷く。
「だよねー」
「普通そんなことできないって」
澪、テンション回復。
「費用も学校もちかなー」
「校長太っ腹ーー!!」
――そこに。
真子が、エスプレッソをズズッと飲みながら一言。
「学校も校長も、お金出してないよ」
「「「「「・・・・えっ?」」」」」
空気が止まる。
真子は淡々と続ける。
「今日の分、全部私が出してる」
「移動、入園、宿泊、食事――」
「だいたい150万くらいかなー」
「「「「「150まーーーん!?!?」」」」」
4人が一斉に立ち上がる。
理絵
「いやいやいや!どういうこと!?」
香織
「桁おかしいって!!」
澪
「もはやイベント予算!!」
玲子があたふたする。
「ま、まこち・・大丈夫なの?」
真子はドヤ顔。
「金ならある」
莉英奈だけが、座ったまま静かに頷く。
「まぁ、まこちだしね・・・・」
真子はさらに続ける。
「本当はもっといいホテル取ろうと思ったんだけどさー」
「この人数だと予約が取れなかったんだよね」
4人、口パク。
完全に思考停止。
その時――
校長がネズミーの耳カチューシャをつけて、スキップしながら横を通過。
「いやぁ夢の国最高だねぇ〜♪」
澪、即ツッコミ。
「おいおい女子高生の金で満喫すなー!!」
香織が笑う。
「しかもグッズまで買ってるし・・・・」
みんなの校長評価が駄々下がりだ。
理絵がふと周囲を見る。
「あれ、そういえば――」
「由美とケンケンは?」
玲子がニヤリと笑う。
そして、ケンケンの声を真似て低い声で。
「・・・・りえ殿、察してくださらんか」
理絵はガクブルする。
「ま、まさか・・・・」
玲子、勢いよく立ち上がる。
「付き合ったでござーーるーー!!」
「ええええええええ!!?」
理絵、机に突っ伏す。
「先越されたぁぁぁ!!」
莉英奈は冷静。
「あの2人、元々両思いでしょ」
「むしろ遅いくらいよ」
香織も頷く。
「まこちのドッキリが決定打だったね」
全員、ジト目で真子を見る。
真子、すっと目を逸らす。
玲子が突っ込みを入れる。
「・・・・やっぱ元凶コイツじゃん」
その時。
澪がニヤァと笑った。
「ねぇさぁ・・」
「尾行、しない?」
「・・・・」
空気が変わる。
理絵、即乗り。
「やる!!絶対やる!!」
玲子もテンション上昇。
「いいじゃんそれ!!」
莉英奈は呆れる。
「ここネズミーランドなんだけど・・」
その空気の中――
真子がゆっくり口を開く。
「ただ尾行するだけじゃ、つまらないよね」
全員、真子を見る。
ニヤリ。
「賭けをしよう」
「「「「「賭け?」」」」」
真子は腕を組む。
「今日1日で、あの2人がキスするかどうか」
「「「「きゃーーーーー!!!」」」」
テンション爆発。
あまりの大声に周りの客は驚き、注視する。
だが――
構わない。
莉英奈が冷静に割って入る。
「待って」
「それ、まこち有利すぎるでしょ」
全員、ハッとする。
真子は手を上げる。
「その通り!」
「私は結末を知っている」
「だから参加しない」
ドヤ顔。
「代わりに――景品を出そう」
全員、前のめり。
「なに!?」
真子は売店を指差す。
「あれだ!!」
ショーウィンドウ。
「ネズミーの精巧な人形」
「1/10スケール」
「お値段、12000円なーり!!」
「「「「「うおおおおお!!!」」」」」
玲子が冷静に戻る。
「ちょっと待って」
「全員当たったら6万だよ?」
真子、即答。
「問題ない」
「金なら・・ある」
「「「「「まこち様ぁぁぁ!!」」」」」
拍手。
歓声。
完全にカオス。
こうして――
夢の国のど真ん中で。
とんでもなく俗っぽい、
そして青春すぎる賭けが始まった。
そして誰もまだ知らない。
この賭けが――
ただの尾行では終わらないことを。




