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人生をやり直しますか? 〜YES or NO〜 【みんなの心の中が読み取れる少女は、やり直し高校生活でやりたい放題です】  作者: 相賜 奏合


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[70]

太陽が、真上を通過したその頃――


黒潮号は、蒼田島の目前まで迫っていた。


波の音が、少しだけ変わる。


重く、ぶつかるような音。



窓から外を眺めていた香織が、声を上げた。

「ねえ、なんか・・・・島みたいなの、見えてきたよ」


その一言で、皆が一斉に窓へと集まる。


視線の先。


そこにあったのは――


島、というよりも。


岩の塊だった。


50mの高さはゆうに超える断崖絶壁。


ぐるりと、島全体を囲むように切り立った崖に、所どころ土砂崩れして岩が転がり落ちていた。


まるで外界を拒絶する自然要塞のような風貌。


由美が、思わず呟く。

「なんか・・・・崖・・・・すごくない?」


ケンケンはメガネをクイっと持ち上げる。

「蒼田島は、火山でできた島でござる」

「山のてっぺんだけが、海の上に出ているような形でござるよ」


「住民は、あの上に住んでいるようなもの・・」


玲子は眉をひそめる。

「・・・・じゃあさ」

「船、どこに停まるの?これ」


皆は息を呑んで船の進む先を見ていた。



黒潮号は、ゆっくりと島の外周をなぞるように進む。


ゴォォーッと、風の音が強くなる。


船体が揺れる。


やがて――


「あっ!」


玲子が指を差した。

「港だ!」


崖の切れ目。


そのほんのわずかな隙間に――


無理やり作られたような、コンクリートの停泊場。


ぽつん、と存在していた。


まるで、“ここしかない”と言わんばかりに。



強い風。


波に押されながら、


黒潮号はゆっくりと接岸していく。


ゴン……ッ


鈍い音と共に、船体が固定された。


その瞬間――


船内にアナウンスが流れる。


ーー長らくのご乗船、誠にありがとうございました。

ーー蒼田島へ到着いたしました。

ーーなお、西岡高校の生徒の皆様は――

ーー船長が同行いたしますので、

ーーそのままカーペット席客室でお待ちください。


ざわ・・・・。


理絵が、不安そうに呟く。

「・・まだ、降りられないんだ・・・・」


莉英奈は落ち着いた様子で頷く。

「まぁ、状況が状況だしね」


だが――


その時。


窓際にいた生徒が、突然叫んだ。


「うわっ!・・あっ!!」


「ガイドだ!!」


一斉に視線が外へ向く。


そこには――


あのガイドの姿。


帽子を深く被り、


周囲を気にするように足早に進み――


そのまま車へ乗り込む。


「おい!!」


「待て!!」


「そいつ犯人だろ!!」


叫び声が飛ぶ。


だが――


ガラス越しの声は、届かない。


ガイドは振り返ることもなく――

そのまま車で走り去っていく。


静寂。


そして――


ざわざわと広がる不安。


「・・・・なんだったんだよ、あいつ」


「絶対あいつじゃん・・・・」


騒つく中、客室の扉が開く。


ガチャッ


全員が一斉に振り向く。


入ってきたのは――


3人の男だった。


制服姿の船員が2人。


そして――


警察官。


「お待たせしました」


最初に入ってきた男が一歩前に出る。


「船長の堂崎です」


続いて。


「副船長の津田です」


そして、警官が名乗る。


「六丈島署・蒼田島分署、巡査部長の桐谷です」


間髪入れずに、玲子が叫ぶ。

「お巡りさん!!」

「さっき降りたガイド、捕まえてください!!」


桐谷が、首を傾げる。

「・・・・ガイド?」


香織が説明する。

「私たちをこの船に案内した人です」


その瞬間。


船長と副船長が、顔を見合わせた。


わずかな沈黙。


そして――


副船長が、ゆっくりと言った。

「・・・・本日の乗客は」

「西岡高校の生徒の皆さんと――」

「原田先生のみです」


「「「えぇぇぇぇ!?」」」


空気が、一気に崩れる。


「は!?」

「いやいやいや!!」

「いたって!!」


パニック再燃。


桐谷が手を上げて制する。

「落ち着いてください」


低く、よく通る声。


一瞬で空気が引き締まる。


「とにかく――」

「このまま皆さんを六丈島へ戻すことはできません」

「一度、島の公民館へ移動してもらいます」

「バスはすでに手配しています」


そして。


桐谷の視線が動く。

「・・・・それと」


指を差す。

「君と、君と――」


次々と指名されていく。


指名されたのは、


玲子。由美。理絵。香織。澪。莉英奈。ケンケン。


「7名は、こちらへ」

「派出所に同行してもらいます」


玲子

「えっ?なんで!?」


理絵

「わ、私たち・・容疑者扱い?」


「え、え、手錠!?くる!?くる!?」


莉英奈

「いやいや、何もしてないからね!?」


ケンケン

「冷静に対処するでござる・・!」


由美

「な、なんで私たち・・・・」


香織は何も言えず、不安そうに周囲を見る。



クラスメイトたちとの距離が、少しずつ離れていく。


不安そうな視線。


手を振る者。


何かを言いかける者。


だが――


もう止められない。


7人は、船の外へと連れ出された。


その先に待つのは――


断崖の島。


そして。


まだ見えない“何か”。

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