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騒ぎを聞きつけて副船長が客室にやってきた。
副船長は倒れている原田を見て青ざめ駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
そして、生存の確認する。
「・・・・ダメです」
副船長は、ゆっくりと首を横に振った。
その言葉を聞いて生徒たちは更にパニックに陥る。
副船長は事態を抑えるために、客室を封鎖する決断を下した。
「この下の階にカーペット席客室があります」
「皆さんはそこで待機してください」
「決して船内を彷徨かないように」
船員に案内されて生徒たちはカーペット席客室へと向かった。
⸻
カーペット席客室。
ざわざわと、不安と恐怖が入り混じる空気。
誰もが落ち着かない中――
3人の男子が、同時に立ち上がった。
MMORPG三人衆である。
生徒Aがメガネを光らせる。
「・・・・諸君」
生徒Bが腕を組む。
「この事件――」
生徒Cが低く言い放つ。
「我々に任せてもらおう」
一同
「「「は?」」」
玲子が即ツッコミ。
「なに? なにが始まったの?」
生徒Aが誇らしげに胸を張る。
「我々は――」
3人同時に。
「「「ミステリー研究部である」」」
由美がツッコミを入れる。
「MMORPG三人衆って帰宅部じゃないの?」
澪が小声で言う。
「ミステリー研究部なんてあったっけ?」
ケンケンはメガネをクイクイさせる。
「・・初耳でござる」
だが3人は構わない。
生徒Bが続ける。
「今回の事件――完全な密室殺人」
生徒Cが指を立てる。
「外部犯の可能性は皆無」
生徒Aが断言する。
「つまり――犯人はこの中にいる」
空気が凍る。
理絵が震えた声を出す。
「えっ・・・・」
3人は止まらない。
生徒B
「状況はこうだ」
生徒C
「全員がデッキに出ていた」
生徒A
「しかーーしっ」
3人同時に。
「「「途中で戻った者がいる」」」
皆は周りをキョロキョロしながら騒つく。
玲子は冷静。
「いやいやいや」
生徒Bが熱く語る。
「皆が景色に気を取られている隙に――」
生徒C
「単独で船内へ戻り」
生徒A
「原田を襲撃」
生徒B
「悲鳴が上がる前に座席の陰に潜伏」
生徒C
「皆が集まった時、何食わぬ顔で合流」
3人が顔を合わせ揃って頷く。
「「「完璧なトリックだ」」」
沈黙。
澪
「いや普通に怖いこと言ってるけど?」
ケンケン
「しかし、理屈は通っているでござるな・・・・」
その時。
3人がゆっくりと前に出る。
そして――
同時に言った。
「「「犯人はわかっている」」」
空気が張り詰める。
玲子
「マジで?」
理絵
「うそ・・・・」
3人が、一斉に指を差す。
「「「犯人は、お前だ!!」」」
――指先は。
・・・・バラバラだった。
生徒A
「高倉 健二!」
生徒B
「田所 理絵!」
生徒C
「中井 莉英奈!」
「「「・・・・」」」
「「「あれ?」」」
沈黙。
澪がツッコむ
「いや、バラバラやないかーーい」
玲子は吹き出す。
「ちょっと待って無理無理無理」
ケンケンは目を丸くさせる。
「なぜ拙者でござる!?」
理絵は全力で首を横に振る。
「む、無理無理無理!!」
莉英奈、深くため息。
「・・・・はぁ」
そして額に手を当てる。
「あのさー」
ゆっくり顔を上げる。
「その推理、前提からズレてるって」
一同の視線が集まる。
莉英奈が一歩前に出た。
「この中に犯人はいない」
莉英奈の反論に周囲は騒つく。
莉英奈は続ける。
「だって、原田を刺したんだから、絶対に返り血を浴びてるはず」
「誰か、制服に血がついてる人いる?」
皆は周りを見渡し、首を横に振る。
莉英奈は頷く。
「だからこの中に犯人はいない」
莉英奈の言葉に一同は安堵の騒めきを残す。
澪が莉英奈に尋ねる
「じゃあ、誰が原田を殺したの?」
莉英奈は腕を組む
「私は、あのガイドが怪しいと思う」
「乗船してから姿をみてないから」
周りも口々に話し出す。
「そういえば見てない」
「おれも」
「わたしも」
「おい、あのガイドどこに行ったんだよ」
「そもそも、あのガイド乗船したのか?」
「乗ったはずよ、見たもん」
再び騒つき始めるが、
莉英奈はみんなを制する
「みんな、聞いて」
一同は莉英奈に顔を向ける
「どこかに潜伏してる可能性があるから」
「みんな、絶対にここから出ないこと」
「あと、トイレに行く時は、女子は4人以上、男子は3人以上でいくこと」
「とにかく、1人になっちゃダメ」
莉英奈の的確な指示に皆は唖然としながら頷く。
香織が呟く。
「りーな、凄っ」
莉英奈は照れた素振りを見せる。
「推理小説いっぱい読んでるからね」
「耐性ができてるのかも・・・・」
MMORPG三人衆は何事もなかったように腕を組んでいる。
生徒B
「なるほど、名推理だ」
生徒C
「なかなかやるな中井くん」
生徒A
「今回は、中井くんに推理を譲ろうじゃないか」
澪はドン引きしていた
「なんか・・ウザっ」
黒潮号は――
何事もなかったかのように、
蒼田島へと進み続けていた。




