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4組を乗せた黒潮号は、ゆっくりと六丈港を離れていく。
クラスの生徒たちは全員、甲板に出て島の景色を眺めていた。
莉英奈
「あーっ、風が気持ちいいー」
由美
「こういう自然の中にいるのもいいよねー」
皆が思い思いに堪能しているなか、ケンケンは違和感に気づいた。
「由美殿、この船・・島から離れていってござらんか?」
由美は何の疑問も持たなかった。
「そうかなー、離れた場所を遊覧するんじゃない?」
玲子も由美と同意見だった
「ケンケンさー、何を心配してるのよ」
ケンケンはメガネをクイクイさせる。
「あの島に着いてから、なにか無性に胸騒ぎがするでござるよ」
そんなケンケンの言葉に香織は肩を竦める。
「考えすぎじゃない?」
皆は香織の言葉に頷いている。
その時ーー
船内に軽やかな音楽と共にアナウンスが流れだす。
ーーこの度は、黒潮号のご乗船、誠にありがとうございます。
ーーこの船は蒼田島に向けて順調に航海をしております。
ーー蒼田島へは3時間後の12時30分頃に到着予定となっております。
ーーなお、本日快晴となっておりますが、幾分風が強いため、蒼田島へ着港できない場合もございます。
ーー着港できない場合は下船できずに、そのまま六丈港へ引き返す場合もありますのでご容赦ください。
アナウンスを聞いて――
一瞬、静まり返る。
そして。
騒つき始める。
「えっ?」
「蒼田島?」
「遊覧じゃないの?」
玲子と莉英奈も顔を合わせる。
「なに? どういうこと?」
「私も訳わかんない」
澪が尋ねてくる
「蒼田島ってどこ?」
ほとんどの生徒が分からず首を横に振る。
そんな中、ケンケンだけは知っていた。
「伊豆諸島最南端の有人島でござる」
「たしか、日本一上陸困難な島で有名だと、wetubeで観たことがあるでござる」
玲子は顔を青ざめる。
「えっ? なんでそんな船に乗ってるの?」
理絵はキョロキョロと周囲を見渡す。
「先生はどこにいるの?」
香織
「そうだ、原田探そう」
甲板に出ていた生徒たちは皆、船内へと戻り、原田を探した。
その時ーー
「ぎゃーーーーぁ」
突然、船内に悲鳴が響いた。
全員が凍りつく。
「・・・・今の声・・・・」
「先生・・・・?」
皆は声のした客室へと駆け出した。
客室に到着したそこには、原田が横腹にナイフが刺さり、血を流して倒れていた。
由美は駆け寄り原田の容態を確認する。
「先生大丈夫ですか?」
「どうして、こんなことに・・・・」
原田は青ざめた顔で震えながら声を絞り出す。
「ガ・・ガイドに・・気をつけ・・ろ・・」
ガクッ
原田の体が、力なく崩れ落ちた。
皆は各々叫びだす。
「きゃーー」
「せんせーー」
「だれかーーー」
「たすけてーーー」
船内は大パニックである。
混乱と悲鳴に包まれる船内。
それでも――
黒潮号は、止まらない。
ただ静かに、
蒼田島へと進み続けていた。




