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人生をやり直しますか? 〜YES or NO〜 【みんなの心の中が読み取れる少女は、やり直し高校生活でやりたい放題です】  作者: 相賜 奏合


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[67]

夕陽が赤く差し込む、どこかも分からぬ空間。


真子と、顔の見えない男が向かい合っていた。


真子は悪い顔をしている。

「ということでいかがでしょう?」


男も悪い顔をしている。

「お主も相当な、ワルよのー」


真子は薄ら笑いを浮かべる。

「いえいえ、お代官様に比べれば、私なんて足元にも及びませんぜ」


互いに見つめ合い、不適な笑いが響く。

「クァーっ、ハッハッハッハー」



ここはーー


東都・夜の初芝埠頭。

黄色い大型客船が停泊しており、出発前のざわめきに包まれていた。


西岡高校3年生

計300人は船に乗って一路、六丈島へと向かう準備をしていた。


玲子

「やっぱり、まこちが居ないのは寂しいね」

香織

「駅まで見送りに来た時は、そのままついて来るかと思ったけどね」

莉英奈

「まこちなら、やりかねんと思ったけど、案外素直に見送ったね」

由美

「まこちの分まで修学旅行たのしもうよ」

全員

「そうだねー」

「船は何時間乗るのー」

理絵

「10時間だって」

「なげっ!」

ケンケン

「朝、起きたら着いてるでござるよ」


担任の原田が声を上げる

「よーし、おまえらー、船に乗り込むぞー」


一同は楽しみという期待を胸に、六丈島へと向かうのであった。


高校生活で忘れられない旅のーー


幕開けである。



夜が明ける。


水平線の向こうから、ゆっくりと光が差し込み始めていた。


淡いオレンジが、海の上を静かに広がっていく。


波は穏やかで、空気はどこまでも澄んでいた。


そして――


巨大な船体が、その光の中から滑り込んでいく。


黄色い船体は、朝日と溶け合うように輝きながら、ゆっくりと港へと入港していった。


六丈島、到着である。



一行は港へと降り立つ。


潮の匂い。


少し強い風。


見慣れない景色に、自然とテンションが上がる。


「クァ〜、着いたー」


由美

「寝てたとはいえ、長旅だったね」


玲子は背伸びをする。

「うわー、空気いいー」


香織は海を見ながら微笑む。

「ほんとだね」


皆は眠い目を擦りながら、朝日を浴びて集まっていた。


だが――


ケンケンだけが、少しだけ周囲を見回していた。


「・・・・?」


ほんの一瞬だけ、

何かに引っかかったような感覚。


(なんだ? この違和感・・・・)


だがすぐに、

気のせいかとメガネをクイクイさせながら流した。



原田が声を張る。

「よーし、4組集まれー!」

「ここからバスで移動するぞー!」


生徒たちがゾロゾロと集まる。


原田はキョロキョロと周囲を見回す。

「・・・・あれ、バスは?」


その時――


「4組の皆さまですかー?」


明るい声。


振り向くと、


“4”と書かれた旗を掲げたガイドが近づいてきていた。


にこやかな笑顔。


どこか作られたような声色。

「ご案内いたしますぅー」


原田は少し安心したように頷く。

「おお、助かります」


一同はガイドの後をついて歩き出す。


ザッ、ザッ、と足音が続く。


しばらく歩いたところで、

ガイドはぴたりと立ち止まった。


そして、くるりと振り返る。

「それでは皆さま」


笑顔のまま、手を差し出す。

「こちらにご乗船くださーい」


原田は固まる。

「・・・・え?」


目の前にあったのは――


船。


「いやいやいや」

「バスでホテルに行く予定じゃ・・・・?」


ガイドは変わらぬ笑顔で答える。

「校長先生からのご指示で」

「4組の皆さまは、先に遊覧船で観光するようにとお伺いしておりますぅー」


原田は眉をひそめる。

「そんな話は――」


だが、その声は掻き消された。


「うぉぉぉ!!」


「マジかよ!!」


「特別待遇じゃん!!」


「校長神!!」


「この船『黒潮号』だって!」


「カッケー!!」


一気にテンションが跳ね上がる。


眠気など完全に吹き飛んでいた。


原田は周囲を見渡す。


止められる空気ではない。


「・・・・はぁ」


ため息。


「・・・・まっ、いいか」


押し切られた。



4組一行は、次々と船へ乗り込んでいく。


ギィ……と、船体が波に乗ってわずかに軋む。


最後に――


ガイドが乗り込む。


その瞬間。


ふと、ガイドの口元が歪んだ。


――笑っていた。


だがその笑みは、


先ほどまでの“作られた笑顔”とは、


どこか違って、


不敵な笑みであった。

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