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人生をやり直しますか? 〜YES or NO〜 【みんなの心の中が読み取れる少女は、やり直し高校生活でやりたい放題です】  作者: 相賜 奏合


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[66]

休み時間。


3年4組の教室と前の廊下は――


異様な賑わいを見せていた。


ざわざわと人の気配が絶えない。


理由は単純。


このクラスに、“2人の異物”がいるからだ。



ひとつ目の人だかり。


それは――入来の周りだった。


「入来先輩、お疲れ様です!」


「先輩、1年でちょっと調子乗ってる奴がいて・・・・」


「先輩、次の集会、来られますか?」


次々と話しかけてくる、いわゆるヤンキー勢。


入来は面倒くさそうに頭を掻いた。

「・・・・だからよぅ」

「俺に関わらなくていいって言ってんだろ」


空気が一瞬止まる。


入来は続ける。

「お前たちの好きにしろ」

「ただ――前に言ったことは守れ」


その一言だけで、全員の背筋が伸びた。

「へいっ、アニキ!!」


入来は手のひらをひらひらと振る。

「はやく散れ」


蜘蛛の子を散らすように、人が引いていった。



そして、もうひとつの人だかり。


それは――真子だった。


廊下では、ひそひそ声が絶えない。


「あれが噂の・・・・」


「なんでも当たるってマジ?」


「やばくね?」


「え、かわいくない?」


「仲良くなっといた方がよくね?」


教室の中。


真子は窓際の席に座り、不機嫌そうに外を眺めている。


そんな真子を莉英奈がニヤニヤしながら見ていた。


真子はため息をつく。

「りーな・・・・なに?」


莉英奈のニヤニヤは止まらない。

「まこちー、すごい人気者じゃん」

「パンダ見に来てるみたいだよ?」


真子は拗ねた顔で即答。

「私は客寄せパンダじゃない」


玲子が親指で廊下を指す。

「じゃあ、あれは何?」


莉英奈が振り向く。


そして――固まる。

「・・・・は?」


廊下のど真ん中。


澪がプラカードを掲げていた。


【石本真子撮影会】


そして元気よく叫んでいる。

「はーい、撮影希望者はこちらに並んでー!」


「あとー、占いは15分3000円でーす!」

「当たるよー!」


行列ができていた。


真子、無表情。

「・・・・おい」


そして、ゆっくりと立ち上がる。

「みーーおーー」


澪は真子の声を聞いてビクッとする。

ゆっくり振り返る。


「あっ・・・・」


真子の冷たい視線が飛ぶ。

「勝手に商売すな」


澪はそそくさとプラカードを隠し、その場から離脱した。


真子の冷たい視線を受けて一瞬で解散する行列。


莉英奈と玲子は顔を見合わせる。

「・・・・ほんとさ」

「賑やかなクラスだよね」


その時。


理絵が歩きながら会話に入ってくる。

「今度の修学旅行も楽しみだよねー」


莉英奈が頷く。

「場所は微妙だけど、このメンバーで行ったら、絶対楽しいよね」


玲子も腕を組んで頷く。

「夜とか絶対寝ないでしょ」


澪(戻ってきてる)

「恋バナでオールでしょ」


ケンケン

「肝試しイベントも期待できるでござるな」


真子だけが首を傾げる。

「・・・・ん?」

「修学旅行?」


全員が真子を見る。


沈黙。


由美がゆっくり説明する。

「5月下旬にあるんだよ」

「まこち・・・・知らなかったの?」


真子は目を丸くする。

「そうなんだー」

「どこに行くの?」


莉英奈が首を横に振りながら語る。

「普通さー、修学旅行って言ったら、東都とか、西都(せいと)じゃん?」

「西岡は伊豆諸島だよ、六丈島だって・・・・」


玲子は頷きながら同意する。

「なんかさー、サバイバルっぽい修学旅行なんだよねー」


真子はサバイバルをイメージしてニヤける。

「へーっ、そうなんだー」

「楽しみだね」



ホームルーム開始のチャイムが鳴る。


ガラッ


「はーい、席つけー」


担任の原田が入ってくる。

「えー、連絡事項だが」


黒板の前に立つ。

「まず、修学旅行について――」


教室の空気が少し明るくなる。

「今回の修学旅行だが」


一拍。


「入来と石本は参加できない」


――静寂。


「「「えっ?」」」


真子は

「えっ?」


空気が止まる。


由美が手を挙げる。

「先生!」

「なんで先輩とまこちは行けないんですか!?」


原田は頭を掻く。

「あー・・・・それな」

「まず、入来は去年行ったからな」


入来は目を閉じて腕を組んで黙っていた。

「石本は2年の途中入学だろ」

「だから修学旅行費の積み立てをしてない」


「つまり――」

「金がない」


ストレートだった。


真子の顔が固まる。

「・・あたち・・・・」


声が震える。

「おるす・・ばん・・・・?」


玲子が勢いよく手を挙げる。

「先生!!」

「まこち可哀想すぎでしょ!!」

「先生が旅費出してあげなよ!!」


クラスメイト全員が一気に乗っかる。

「そうだそうだー!」

「原田が出せー!」

「誰のおかげでクラスまとまってると思ってんだー!」


バンッーー


原田は教卓を両手で叩く。

「うるせぇ!」

「先生の安月給なめんな!!」


頭を掻きながら、さらに続ける。

「それにだな」

「仮に金があっても――」

「もう予約締め切ってるから増やせねぇんだよ」


「えぇぇぇぇ・・・・」

教室に落胆の声が広がる。


真子、完全に沈む。


机に突っ伏す。


入来が肩をすくめる。

「石本」

「仲良くお留守番だな」


真子、ガバッと顔を上げる。


「いやだーーーっ!!」


そして、立ち上がる。


「あたしも修学旅行に――」


「いきたーーーい!!」


教室に響き渡る叫び。


窓の外では、春の風が変わらず穏やかに吹いていた。


――しかし。


このクラスだけは、今日も騒がしい。


そしてきっと。


このままでは終わらない。


そんな予感が、誰の中にもあった。

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