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しばらくして――
ガラッ
ドアが開く。
「はーい、席つけー」
担任の原田が入ってきた。
玲子がまた驚く。
「げっ!?担任も一緒!?」
澪もツッコむ。
「どこまでも一緒かーいっ」
全員がざわつきながら席につく。
原田は黒板の前に立つ。
「えー・・・・」
「みんなもう気づいてると思うが」
「3年4組は――」
少し間。
「入来くんが入った以外、全員2年と同じメンバーだ」
教室が一気にざわつく。
「はぁ!?」
「なんで!?」
香織が手を挙げる。
「先生ー!」
「他のクラスは変わってるのに、なんで4組だけそのままなんですかー?」
原田が頭を掻く。
「・・・・あー、それな」
「説明すると長いぞ」
教室が静まる。
原田はため息をついた。
「原因は――石本だ」
全員の視線が真子に集まる。
真子は自分に指を向ける
「えっ? あたし?」
原田は続ける。
「石本、春休み中に商店街で占いやっただろ」
玲子がボソッと。
「えっ? あれ?・・・・」
原田が頷く。
「その占いの評判が保護者に広まって」
「学校に電話が来まくった」
ざわつきが止まらない。
「え?」
「マジで?」
原田
「石本と“同じクラスにしてほしい”だの」
「逆に“離してほしい”だの」
「賛否両論だ」
莉英奈は溜息をつく。
「めちゃくちゃじゃん・・・・」
原田は真顔で言う。
「・・・・教育委員会でも問題になった」
さらにざわつく。
真子騒つく周囲を見渡す。
「いや、なんで!?」
原田
「受験がある3年には石本という存在は影響力が強すぎるってな」
「で、議論の結果――」
黒板をコンコンと叩く。
「“石本に耐性のある4組はそのまま”」
「って案が通った」
教室中の誰もが言葉を失った。
沈黙。
由美が首を傾げる。
「・・・・耐性ってなに?」
澪はクスクス笑う。
「まこち、ウイルス扱いじゃん」
香織は冗談めいたように震える。
「私たちは感染者?」
ケンケンがメガネをクイっと持ち上げる。
「これは・・・・完全にバイオハザードでござる」
玲子は笑いを堪えている。
「やめろ・・・・駆除されるから」
原田は溜息をつく。
「ついでに担任も校長命令で据え置きだー」
「以上っ!」
教室のざわめきは最高潮である。
全員が真子を見る。
「あー・・・・」
「なるほど・・・・」
「こいつのせいか・・・・」
真子は納得いかない顔。
「えっ、私のせい!?」
「意味わかんないんだけど」
その中で――
入来だけが笑っていた。
「はははっ」
「まぁー、仕方ねぇよな」
全員が入来を見る。
入来は肩を竦めた。
「こいつ相手できるのは」
「慣れてるやつしか無理だろ」
真子が不満そうに睨む。
「なにそれ」
原田が手を叩く。
「はいはい、ホームルーム始めるぞー」
ざわつきながらも、教室が落ち着いていく。
窓の外では、春の風が静かに吹いていた。
――この1年も・・
きっと、普通では終わらない。
そんな予感だけが、
教室に、静かに残っていた。
――そして、その中心にいるのは、
間違いなく石本真子だった。




