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12月も中旬を過ぎた頃。
教室は、もうすぐ冬休みという浮かれた空気が漂っていた。
そんな中、玲子が机に身を乗り出して言う。
「ねぇねぇ、今年のクリスマスイブさ、みんなでパーティーやろうよ!」
その一言で女子たちは一気に盛り上がる。
「いいねー!」
「やろやろ!」
「プレゼント交換とかする?」
そんな騒ぎの中――
「わ、われも・・・・よろしいか・・・・」
気配もなく、背後から声。
振り返ると、メガネをクイクイさせている男。
ケンケンである。
玲子は思いっきり舌打ちした。
「チッ・・・・しゃーねーな」
渋々許可。
ケンケンは嬉しそうにメガネをクイクイした。
しかし。
真子だけが、少し困った顔をしていた。
「あー・・ごめん」
「私その日、予定あるんだよねー」
「えっ!?誰と!?」
玲子が身を乗り出す。
「男?」
「んーとねー」
真子は指を折りながら数える。
「男2、女3、私」
「あと入来先輩誘う予定だから・・7人かな」
一同沈黙。
「・・・・多くない?」
莉英奈が言う。
そして少し考えたあと、ぱっと顔を上げた。
「じゃあさ」
「一緒にやろうよ!」
一瞬の静寂。
そして。
「それだーーー!!」
教室は大賑わい。
だが。
真子の顔はまだ曇っていた。
「うーん・・・・」
しばらく考えてから真子が言う。
「じゃあ、今から注意事項言うから」
「みんなちゃんと覚えといて」
「は?」
全員が同じ反応をする。
真子は人差し指を銃のようにして順番に言う。
「れーこ」
「ジュースを頭から被らないこと」
玲子
「はぁ?」
「りえー」
「転んで後頭部打たないこと」
理絵
「えっ?」
「かおりー」
「りえに暴力振るわないこと」
香織
「なんで私!?」
「りーな」
「物を投げないこと」
莉英奈
「はい??」
「ゆみー」
「ケーキを顔で食べないこと」
由美
「どゆこと?」
「みーお」
「机の足で足の小指ぶつけないこと」
澪
「痛いっ!」
「想像するだけで痛い」
全員
「・・・・・・」
完全に意味不明。
その時。
ケンケンが手を挙げた。
「わ、われは?」
真子は少し考える。
「ケンケンは・・・・」
「合図したら外にダッシュ」
「はい?」
「まぁ、わかりもうした」
ケンケンはとりあえず頷いた。
玲子は切り替える。
「じゃ、24日18時」
「私の家ね」
「わたしんち、広いから15人くらい余裕」
「各自、プレゼント忘れないよーにー」
「おおーーっ!」
教室は再び盛り上がる。
その騒ぎを見ながら。
真子は小さく笑っていた。
⸻
放課後。
真子は入来に話しかける。
「先輩、クリスマスイブ暇?」
入来は即答。
「無理」
「え?」
「冴子とデート」
「・・・・・・」
真子は一瞬固まる。
「そっかー」
「合わせたいのいたんだけど・・・・」
「仕方ないね」
真子はそそくさと去っていった。




