[46]
玲子、香織、澪の3人は揃って街中を歩いていた。
そして、とある喫茶店の前で足を止める。
「ここ?」
「らしいよ・・」
「とりあえず入ろっか」
扉を開ける。
ーーカランコロン
「へいっ!らっしゃーーーい!!」
粋のいい声が店内に響き渡る。
玲子はその声に、不意を突かれて身体をビクつかせる。
最後尾にいた澪は店を間違えたのかと、外の看板を見直す。
(間違えてない・・よね・・)
店内を見ると、ねじり鉢巻をした女性が歩み寄ってくる。
どうみても真子だ
「へいっ、お客様!何名様でっ?」
「・・・・さん・・めい・・です・・・・」
「へいっ!3名様ですね、あちらへどうぞーっ」
「ご新規様!3名様、はいりまーーすっ」
「いらっしゃいませーーっ」
1人芝居で気合いの入った声が響き渡る。
そんな時、バックヤードから怒鳴り声が聞こえてくる。
「いーしーもーとー、ちょっと、うしろこいやー」
真子は舌打ちしながら渋々バックヤードに下がる。
そんな茶番を3人は引き気味に見ていた。
「あれ、絶対怒られてるよね」
「そりゃそうでしょ、居酒屋かと思ったもん」
「まこち・・クビだな」
そんな話をしながら注文を決めていた。
しばらくして香織は店員を呼んで注文をする。
静かでレトロなお店でとても雰囲気がよく、落ち着く。
3人で雰囲気を楽しんでいると、注文したコーヒーをウエイターが持ってくる。
そのウエイターはフリフリでメイドのようなミニドレスを着こなしている。
どう見ても真子だ。
「ご主人さまー、お待たせいたしましたー」
コーヒーを置いても立ち去ろうとしない。
メイドはモジモジ、クネクネしている。
「今から〜、コーヒーを〜、愛情で〜、あま〜〜く、しま〜す」
「せーのっ、ラブラブ、キュンッ」
真子はラブキュンポーズをしながら止まっている。
3人も違った意味で止まっている。
再びバックヤードから声が聞こえてくる。
「いーしーもーとー」
フリフリの可愛いドレス。
・・・・なのに。
「チッ」
その顔は完全にオヤジだった。
3人は呆気に取られて固まっている。
香織が最初に口を開く。
「まこち・・自由だな・・・・」
「ほんと、変わってるよね・・・・」
ようやく平和にコーヒータイムを満喫する3人であった。
ーーー
優雅なコーヒータイムを終えて、3人は帰ろうとレジに向かう。
そこには、不満そうな顔で真子が立っていた。
香織がツッコミを入れる。
「おっ、やっと普通の格好になったじゃん」
真子はブー垂れている。
「あのオーナー、センスねぇわ」
澪が素でツッコミを入れる。
「おまえがなっ」
会計を済ませて帰ろうとした時に真子が呼び止めて、玲子に紙切れを渡す。
「そこに電話して。名前言えば分かるから」
玲子は理解できなかった。
「えっ?わたしが?自分で連絡しなよ」
「勤務中、スマホ使えないんだ」
澪がツッコミを入れる。
「そこは真面目かっ」
「頼んだよ」
真子はそう言ってバックヤードに消えて行った。




