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人生をやり直しますか? 〜YES or NO〜 【みんなの心の中が読み取れる少女は、やり直し高校生活でやりたい放題です】  作者: 相賜 奏合


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[36]

駅前の『たこから』は、放課後の学生たちでいつも賑わっている。


ソースの香ばしい匂いと、鉄板の上で踊るように焼かれるたこ焼きの音。


ジュッ、ジュッ、と軽快なリズムが店内に響いていた。


窓際の席には、真子たち7人――そして1匹(自称)が並んで座っている。


「やっぱり、『たこから』は塩マヨネーズが一番だよねー」


真子が嬉しそうに言いながら、たこ焼きを頬張る。


「あー、それわかるー」


玲子が頷く。


「ソースもいいけど、塩マヨは正義」

澪も同意しながら箸を伸ばした。


たわいもない会話。


笑い声。


連休明けの気だるさも、いつの間にか消えていた。


そんな中。


由美が、スッと真子の横へ寄ってきた。


「まこち・・ちょっと相談があるんだけど」


真子は口いっぱいにたこ焼きを頬張ったまま返事する。


「はふ、はふ・・アッツ・・あー、ごめん、んで、なに?」


口元を手で扇ぎながら聞き返す。


由美は少し周りを気にしてから、小さな声で言った。


「あの日さ・・・・まこちが手、握ったじゃん?」


「んー?」


「・・・・あれからね、まだ見えるの」


真子の手が一瞬止まる。


「・・・・見える?」


「うん・・・・霊、っていうか・・なんか・・」


深刻な顔。


対照的に、真子はもう次のたこ焼きを狙っていた。


「ねぇ、まこち?聞いてる?」


「うんうん、聞いてるよー」


ひょいっとたこ焼きを口に運ぶ。


「まぁ、ゆみっちにそういう力があったってことだよー」


あっさり。


軽すぎる返答。


由美の眉がピクリと動いた。


「嫌だよー!こんなの!元に戻してよー!」

小声ながら必死の抗議。


真子はやれやれ、と肩を竦めた。


そして、由美の耳元へ顔を近づける。


「・・・・ゆーみっ」


たこ焼きで囁く声が温かい。


「視えてる方が、ケンケンと話しやすいよ?」


一瞬、時間が止まった。


由美の顔が、みるみる赤くなる。


「な、な、なに言ってんのっ!?」


小声なのに勢いだけは全開。


その様子を、莉英奈が見逃すはずもない。


「はーい、そこー。コソコソ何してるー?」


ニヤニヤしながら身を乗り出してくる。


「個人的な占い結果を伝えてただけー」

真子はしれっと答える。


その一言で、全員のスイッチが入った。


「えー!ゆうみだけずーるーいー!」


「わたしも視てー!」


「わたしもー!」


「私もお願いっ!」


声が一斉に重なる。


そして。


「・・・・わ、われ、も・・・・」


小鳥の囀りのような声。


全員の視線が、ゆっくりケンケンへ向く。


メガネをクイクイしながら、控えめに手を挙げている。


沈黙。


次の瞬間。


「犬は見なくてよしっ」

理絵が即答。


「・・・・」


ケンケン、撃沈。


しゅん、と肩を落とす。


その様子に、店内が爆笑に包まれた。


たこ焼きの湯気の中。


笑い声が弾ける。


放課後の、何気ない時間。


でも。


真子だけは気づいていた。


由美が、ほんの少しだけケンケンを見る回数が増えていることに。


そして――


ケンケンもまた、無意識に由美を目で追っていることに。


(うんうん)


(いい感じ、いい感じ)


真子はニヤリと笑いながら、最後のたこ焼きを口に放り込んだ。

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