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真子は精度を上げる為にいつもの儀式を始める。
・・・・パチーーン、パチーーン
指を鳴らしただけなのに、妙に澄んでいて教室中に響き渡った。
教室の彼方此方で話をしていた生徒達がその音に惹かれて真子を見る。
教室中が真子に視線が集中した。
真子はそんなことを気にもせず目を開き話し始める。
「しずくさん、あなたの彼氏との日頃のやり取りとかを想像してもらってもいい?」
雫は言われるがまま、目を閉じて思い返す。
しばしの沈黙
周りの生徒が何事が始まる?と気になって3人の周りに集まってくる。
真子は目を閉じる。
線が繋がる。
感情の流れ。
小さな違和感。
(・・・・なるほどね)
(解析完了っと)
ゆっくりと目を開く。
「うん、しずくさん、ありがと」
真子は1つ大きく深呼吸をした後、静かに話し始める。
「彼氏は同じクラスの金森 敦也くんね」
雫は驚く
「えっ?・・あつやに会ったことあるの」
真子は首を横に振る
「ないよ、わたし、この学校に来て2日目だよ」
「えっ?・・うそ・・なんでわかるの?」
その問いに真子はスルー
「原因はね・・・・」
周囲の固唾を飲む音がする。
「しずくさん、あなただよ」
「あなた、最近、隣の12組の男の子と仲良く喋ってるでしょ?・・村上 竜彦くんと・・」
「・・・・」
「あつやくん、その姿を目撃してるのよ・・何回も」
「あっ、えっ?・・そうなの?」
「彼、妬いちゃってるのよ・・」
「えっ?うそ?・・でも、たつひこって・・」
真子は肘を置いて頬杖をつく
「幼馴染みなんでしょ?」
雫はその言葉に何も言えず、ただ顔を青くさせるだけだった。
「男の子ってそんなもんよ、ちゃんと言葉で誤解を解かないと納得しないの」
「あつやくんは幼馴染みって思ってないよ」
「だいぶん前に紹介したよ、幼馴染みだって」
雫は反論する。
真子はため息をつく。
「あのねー、彼女が男の子を連れて来て名前紹介したタイミングで頭真っ白な訳、そっから先の言葉なんて頭に入ってないわよ」
「なんなら、あつやくんに聞いてみな?」
その言葉に雫はガタンと立ち上がり一目散に教室を後にする。
教室は静かになり、皆が真子を囲んで見ていた。
真子は囲まれているのに驚き、周囲を見渡す。
「うわ、なに?・・みんな、どうしたの?」
静寂から歓声に変わり、教室の空気が明るくなる。
「うわーー」
「すげーー」
「石本なに今のーー」
「石本、カッケーー」
朝の空気からの大逆転劇である。
真子は四方八方からの質問責めで対応しきれずアワアワしていた。
裕子だけは、最初から結果を知っていたように小さく頷いていた。




