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人生をやり直しますか? 〜YES or NO〜 【みんなの心の中が読み取れる少女は、やり直し高校生活でやりたい放題です】  作者: 相賜 奏合


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25/56

[25]

喫茶白鯨の扉を開けると、

ーーカランコロン

控えめな音が鳴った。


店内は相変わらず落ち着いていて、昼下がりの光が窓から静かに差し込んでいる。


真子は迷わずカウンターへ向かった。


「先、席取ってて」


振り返りもせずそう言う。


裕子と浩太は顔を見合わせ、小さく頷いた。


カウンターに並びながら、真子はちらりと2人の歩く背中を見る。


二人の距離。


近いようで、遠い。


(・・・・なるほどね)


注文を終え、定番のカフェフラッペを3つ受け取る。


冷たいカップの感触が、妙に心地よかった。


席に戻ると2人は、やはりどこかぎこちない。


真子は何も言わず、ストローを刺して一口飲んだ。


シャリ、と氷が鳴る。


「・・・・で?」

軽い声。


二人が同時に顔を上げた。


「な、なにが?」

浩太が戸惑う。


真子は頬杖をついた。

「なんでそんな空気なのって、は・な・しっ」


ーー沈黙。


裕子が視線を落とす。

浩太が息を吐く。


「・・・・別に」


「別に、じゃないでしょうに」

あっさり切り捨てる。


「さっき駅で会った瞬間から、空気重すぎなんだけど?」

2人は何も言わない。


真子はフラッペをもう一口飲む。

「じゃあーさっ、質問変えるよ」


ストローをくるくる回しながら言った。


「ゆうこ」

名前を呼ばれ、裕子がびくっとする。


「ほんとはどうしたいの?」


「・・・・えっ?」


「東都のはーなーしっ」


一瞬で空気が張り詰めた。


裕子の指がカップを強く握る。


「今でも反対・・だって、居なくなるみたいじゃん」

「・・・・違う世界に行かれるみたいで・・・・怖い」


真子は即答する。

「嘘だね」


裕子の肩が揺れた。

「ち、違っ・・・・」


「反対だし、怖いのは本当だろうけど、半分だね」

「あとの半分は?」


ーー沈黙。


裕子の視線が揺れる。


裕子の雰囲気を察して、浩太が何か言いかけるが、真子が手で制した。


「今、ゆうこのターン」

淡々とした声だが、圧がある。


浩太は何も言えなくなる。


裕子の唇が震える。


「・・・・わたしだって・・・・」


「こうちゃんのこと・・・・応援・・してるよ」

小さく、静かな声。


浩太の目が見開かれる。


「えっ・・・・?」


裕子は俯いたまま続けた。


「応援しなきゃって思ってる。でも・・・・怖いの」

ぽつり、と落ちる言葉。


真子は何も言わない。


ただ聞いている。


浩太が呆然と裕子を見る。


「・・・・そんな風に思ってたの?」


「言いたいけど・・・・言えなかった・・・・」

「中学の時から言えなかった・・・・」

涙声。


浩太は中学時代に廊下で呼び止めて話をしたことを思い出す。

「あの時から・・?」

「すきにすればって・・・・」


裕子は俯きながら

「・・・・お、う、えん・・・・」

息を吐くように。


浩太は呆気に取られている。


沈黙。


真子は静かにストローを回す。


「はい、次」


今度は浩太を見る。


「こうたは?」


「・・・・俺は」


少し迷ってから口を開く。


「反対されてると思ってた」


「だから、ちゃんと説得しなきゃって・・・・」


裕子が顔を上げる。

「反対なんか・・・・」


「してるって思うじゃん!」


浩太の声が少し強くなる。


「『やだ』とか『嘘つき』って言われたらさ・・・・」


2人の言葉がぶつかる。


真子は小さくため息をついた。

(若いねー2人とも・・・・)


「・・・・ねぇ」

2人が同時に止まる。


「男子ってさ、言葉そのまま受け取りすぎ」

「そんで、振り回されすぎ」

浩太が固まる。


「あと、ゆうこ」

視線を向ける。


「女子ってさ、遠回しすぎ」


一瞬の沈黙。


そして。


「つまり・・・・さ」


フラッペを置く。


「お互いの翻訳ミス」


2人が同時に目を丸くした。


「裕子は『頑張れ』って言いたいけど言えない」

「浩太は『応援してほしい』って言えない」

「そのくせ、要らないことを、こじ付けてる」

「結果、すれ違い」


シーーンっと静まる。


裕子が小さく笑った。


「・・・・なに・・それ」


真子はフラッペを一口。


「事実でしょ?」

そして、肩を竦める。


2人は顔を見合わせて、照れ笑いし合う。


さっきまでの重さが、少しだけ軽くなった気がした。


真子はストローをくるりと回した。


「はい、じゃあさ」

ニヤッと笑う。


「今から、本音で話して合ってみよっか」

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