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街角聖女 木彫りの小さな聖女像のお話  作者: 葉月秋子


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40/50

その40

その40



『でていけ!ゴブリンども!』


 わたしの意志が、水の波紋のように、光の波のように、丸く広がっていきます。


 河に届き、川向うに届き、向こう岸の冒険者や兵士の身体をすり抜け、ゴブリンたちにぶつかりました。


 ゴブリンたちはすり抜けられず、押し出されます。


 ゴブリンたちは私の意志と壁の間に挟まれ、おびえて逃げようと騒ぎます。

 排水抗に戻ろうとしますが、入ろうとする者たちが詰まっていて、戻れません。

 壁に押し付けられるように、固まってしまいました。

 内側からなら階段を上って壁の上の通路に出られるのですが、おびえてそれどころではなく、上で身構えていた兵士たちも、櫓の兵士たちも、呆気に取られて見おろしています。



 人々の身体をすり抜けて広がる光の波を、呆然と見ていたテオが、はっと気づきました。


「聖女様!」

 わたしに走り寄って、膝をつきました。

「聖女様、ありがとうございます!」


 そして立ち上がって、人々に呼びかけます。

「みんな、こっちへ!この広場へ!聖女様の近くへ!」


 

 向こう岸に渡った冒険者たちも、はっと気を取り直します。

「行くぞっ!かかれっ!」



 数時間のうちに、壁の内側に入り込んだゴブリンの群れは一掃されました。

 排水抗はしっかりと塞がれ、見張りが立てられます。


 河を渡ってこちらに来れたゴブリンは、一匹もいませんでした。



 


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