その40
その40
『でていけ!ゴブリンども!』
わたしの意志が、水の波紋のように、光の波のように、丸く広がっていきます。
河に届き、川向うに届き、向こう岸の冒険者や兵士の身体をすり抜け、ゴブリンたちにぶつかりました。
ゴブリンたちはすり抜けられず、押し出されます。
ゴブリンたちは私の意志と壁の間に挟まれ、おびえて逃げようと騒ぎます。
排水抗に戻ろうとしますが、入ろうとする者たちが詰まっていて、戻れません。
壁に押し付けられるように、固まってしまいました。
内側からなら階段を上って壁の上の通路に出られるのですが、おびえてそれどころではなく、上で身構えていた兵士たちも、櫓の兵士たちも、呆気に取られて見おろしています。
人々の身体をすり抜けて広がる光の波を、呆然と見ていたテオが、はっと気づきました。
「聖女様!」
わたしに走り寄って、膝をつきました。
「聖女様、ありがとうございます!」
そして立ち上がって、人々に呼びかけます。
「みんな、こっちへ!この広場へ!聖女様の近くへ!」
向こう岸に渡った冒険者たちも、はっと気を取り直します。
「行くぞっ!かかれっ!」
数時間のうちに、壁の内側に入り込んだゴブリンの群れは一掃されました。
排水抗はしっかりと塞がれ、見張りが立てられます。
河を渡ってこちらに来れたゴブリンは、一匹もいませんでした。




