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街角聖女 木彫りの小さな聖女像のお話  作者: 葉月秋子


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39/50

その39

その39



「ゴブリンだーっ!」


 やっぱり排水抗が見つかってしまったのです。


 上流の土手を這い上がり、橋向こうにわらわらとゴブリンたちが現れました。


 テントから飛び出してこちらに逃げてこようとする貧民たちと、迎え撃とうとする冒険者と警備兵の一隊とが、橋でぶつかり合って、混乱します。


 子供たちが泣き叫び、河に落ちる人もいます。



 ・・・ああ・・・・・・


 わたしの手は、河の向こうまで届きません。



 ああ・・・


 だれか、助けて。


 わたしの大事なシトリンの町を、町の人たちを、助けて。


 わたしは出来る限りに手をのばします。



 光が。


 小さな光が、私の中に飛び込んできました。


 ひとつ、またひとつ。


 小さいけれど、たくさんの光が、私に集まってきます。



 わたしのマントが大きく広がります。


 町の様子が、河むこうから後ろの高台まで、

 壁に囲まれた、シトリンの町全部が感じられます。


 そう、この町全部。

 全部を、覆うように。



『出ていきなさい。ここは私の守る町です。

 ゴブリンなんかに、荒らされるものですか』


 わたしは思い切り力を込めて、叫びました。


『出ていけ!ゴブリンどもっ!』

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