その35
その35
シトリンとダリアの町を含むいくつかの町を治めているのは、トラウトス男爵と言う貴族様です。
あまり身分の高い貴族様ではないそうです。
それぞれの町には代官とその私兵がいますが、装備の整った騎士は、男爵のお城に詰めているだけです。
シトリンの町のギルドは小さいので、高ランクの冒険者たちがいません。
ダリアの町から広域魔法を使える魔術師が駆けつけるまで、なんとかゴブリンの群をおさえておかなければならないのです。
周りの農地から、村人も避難させなければなりません。
C級とD級の冒険者パーティーが何組も編成され、裏門から出ていきます。
『皆さん、ご無事で。どうか怪我をしませんように』
残った人たちも、門を補強したり、見張り台に薪と油を運んだり、大騒ぎです。
「代官め、下級の魔物など冒険者にまかせておけと言いおった」
「「湧き」の怖さも知らぬ金持ちどもが」
「たかがゴブリンなどで騒ぐのは沽券にかかわると思っているのさ」
「割を食うのはいつも俺たち平民だ」
「村がやられれば、責任を取るのは代官だぞ。
一体何を考えてやがる」
町の警備隊の制服を着て槍を持った、ラウスさんが走ってきました。
「ゴブリンの先鋒が西の野に現れたそうだ!
テオたちはまだ戻らんのか!」




