その32 ちいさな冒険者
その32
冒険者の人たちは、毎朝わたしに挨拶をして出ていきます。
狩りの無事を願うお祈りが、日ごとに深く、強くなっていきます。
魔物の数が増え、強くなって、怪我をする人が増えているのです。
『強すぎる魔物に出会いませんように。事故を起こしませんように』
わたしは精一杯の祝福を飛ばして送り出します。
テオは毎朝、わたしの前のお掃除を欠かしません。
お供えはお金を使わないきれいな石や野の花が多くなったけれど
皆少しでも食べ物を置くように気を付けてくれます。
テオがまとめて、河のむこうの貧しい子供たちの所に持っていくのです。
通っているうちに、向こうで仲のいい友達が出来て
三人のパーティーを組むようになりました。
もと冒険者だったラウスさんが指導してくれて
見習いからこつこつお金をためて、一緒に正規の冒険者登録をしました。
冒険者証があれば、向こうの子も河を渡ってこちらの町に来られるのです。
もと農家の子だった大柄なバンと、同い年で細身の少年、モシュ。
武器は木の槍と、ラウスさんのおさがりの鉄のナイフだけですが
三人いれば大爪モグラくらいは狩れます。
この不景気には、貴重なお肉です。
山羊がいなくなっておそなえのミルクはなくなったけど
猫たちはネズミを狩ってまるまると太っています。
「ネズミがいなくなったら、本当の飢饉のはじまりじゃ」
おばあさんが、そんな怖い事を言います。
どうか、どうか、そんなことにはなりませんように。




