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街角聖女 木彫りの小さな聖女像のお話  作者: 葉月秋子


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その31

その31



 それから数年、天気が悪く、不作で厳しい年が続きました。

 世界のどこかで、魔王が力をふるっているからだと、皆が噂します。

 勇者様と聖女様が、仲間を集めて魔王を退治に出かけたそうです。


 昔に読んだご本のように、勇者さまたちが魔王をやっつけてくれたら、豊かな実りが戻って来て、みんなが楽になるのでしょう。


 でも今は、暮らしはとても大変です。



 シトリンの町のそばでも村が二つも消え、農作物が入って来る量が減りました。

 河の向こうの掘っ立て小屋の数は増え続けています。



 借金奴隷の年期が明けて、ミリィのお父さんのハンスが帰ってきました。

 でも体がひどく弱っていて、寝たり起きたりの毎日です。


 テオは洗礼式も済み、念願の冒険者見習いになりました。

 まずは森の入り口付近で、薬草採取の常設依頼をこなします。


 でも魔物の数も増えて来て、町の近くまでゴブリンが出てくるようになったので、気を付けないと、危ないのです。



「行ってきます、聖女様」


 ラウスさんからお古のナイフをもらい、意気揚々と出ていきます。



『行ってらっしゃい、無茶をしないで。

 無事に帰って来れますように』


 



 

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