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その26
その26
「奉公に出てた姉が死んでの、口入れ屋が支払った金を返せと言ってきおった」
三年間の女中奉公の契約を結んだ娘さんが、先日の火事で亡くなってしまったのです。
「代りの娘をよこすか、契約金を返すか。
でなければ、下の娘のミリィを売れと言う」
ねらいはそっちじゃ。とおばあさんは苦々し気に言います。
「あの口入れ屋、ダリアの町で阿漕なことをしているとのうわさじゃ。
孤児院の子供が消えると言う話もある。
ハンスめ、とんでもない奴にひっかかりおった」
見た目のいい子供がさらわれる事件が多いのです。
「洗礼式前の子供には市民権がない。
七歳まで自由の身でなければ、王国の民として認められない」
だから、ハンスはミリィをおばあさんに預け、自分自身を売って借金を返すことにしたのです。
借金奴隷は年期が明ければ自由になれますが、買った主人によって扱いはまるで違ってきます。
不具にしたり殺したりしてはいけないと言う、緩い法律があるだけです。
「契期は三年じゃ。あいつは腕のいい細工師じゃから、酷い扱いは受けなかろうが・・・」
残されたミリィが不憫じゃ、と。おばあさんはため息をつきます。




