24/50
その24
その24
テオは毎朝、おばあさんと一緒にお掃除に来てくれます。
「この聖女様はなぁ、腕のいい家具職人だったジンゴロさんの嬢ちゃんじゃ」
わあ、おとうさんの名前を聞くのは久しぶりです。
「ジンゴロさん?」
「儂の親の世代のお人じゃ。
もう、知っとる者も少なかろう。
王都からも注文が来るような、良い家具をたくさん作っとったよ。
署名代わりにどこかに必ず生き物の姿を彫っての。
家具ばかりじゃない。
あそこの馬車屋の框に寝そべっとる猫の像も、こっちの「躍る仔馬亭」の看板も、みんなジンゴロさんの仕事じゃ」
シトリンの町じゅうに、おとうさんの彫ったものがあるのです。
「名は忘れられても、良い仕事は残る。
何世代にも引き継がれていく良い仕事をすることが、
職人街の、皆の誇りじゃ」
ぽわぽわと暖かい気持ちが、祝福になって町中に広がっていきます。
わたしの気に入りだった子ウサギのついた寝台も、今でも誰かが使ってくれているのでしょう。




