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街角聖女 木彫りの小さな聖女像のお話  作者: 葉月秋子


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その24

その24



 テオは毎朝、おばあさんと一緒にお掃除に来てくれます。


「この聖女様はなぁ、腕のいい家具職人だったジンゴロさんの嬢ちゃんじゃ」


 わあ、おとうさんの名前を聞くのは久しぶりです。


「ジンゴロさん?」


「儂の親の世代のお人じゃ。

 もう、知っとる者も少なかろう。

 王都からも注文が来るような、良い家具をたくさん作っとったよ。

 署名代わりにどこかに必ず生き物の姿を彫っての。

 家具ばかりじゃない。

 あそこの馬車屋の框に寝そべっとる猫の像も、こっちの「躍る仔馬亭」の看板も、みんなジンゴロさんの仕事じゃ」


 シトリンの町じゅうに、おとうさんの彫ったものがあるのです。


「名は忘れられても、良い仕事は残る。

 何世代にも引き継がれていく良い仕事をすることが、

 職人街の、皆の誇りじゃ」



 ぽわぽわと暖かい気持ちが、祝福になって町中に広がっていきます。


 わたしの気に入りだった子ウサギのついた寝台も、今でも誰かが使ってくれているのでしょう。

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