その23
その23
牢から出されたエリアさんは、疲れ果てていましたが、ひどい扱いは受けていなくて、迎えに行ったテオをしっかりと抱きしめて泣き崩れたそうです。
「官憲のやつら、詫びひとつなくエリアを放り出しやがった」
ラウスさんがプンプン怒っています。
「無事に出てこられただけで儲けもんじゃよ」
翌日、テオと手を繋いだエリアさんがやって来て、わたしの前にひざまずきます。
「聖女様、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
疲れた顔をしていましたが、テオによく似た優しそうな人です。
死刑になんか、ならなくてよかった。
でも、無事に戻っては来ましたが、住みこみの女中をしていたエリアさんは、職も住むところも失くしてしまいました。
お仕事中テオを預かっていた知り合いとも、気まずくなっていました。
「しばらくは、家で暮らすがいいさ」
おばあさんが誘ってあげて、二人は私の後ろの、職人街で暮らすようになりました。
テオは毎朝、おばあさんと一緒にお掃除に来てくれます。
ラウスさんがわたしに挨拶をして、テオの頭をなでて、お仕事に出ていきます。
しっかりお金をためてエリアに求婚できるように、頑張ります、と皆には内緒でわたしに祈って行きます。
『行ってらっしゃい、気を付けて』
わたしはちょっと多めの祝福を飛ばして、送り出します。




