その21
その21
冒険者風の男の人は、やっぱり冒険者で、ラウスという人でした。
牢にいるエリアと、その御主人だったザンガとは、幼なじみで、わたしの前の広場でいつも遊んでいたそうです。
「仲のいい三人組だったのう」
おばあさんも覚えているとなつかしがります。
「ザンガが生きてれば、エリアもこんなことにならずにすんだのになぁ」
「母さんはそんな悪い事しないよ!
どうして、みんなわからないの!
どうして、助けてくれないの!」
子供は、ラウスに縋りつきます。
「母さんがやったんじゃない!
母さんは犯人じゃないよ!」
しかしラウスさんも、おばあさんも首をふります。
「もうお上の判決が下っちまったんだ。
俺らにはどうしようもない」
「旦那さんなら知ってる!
旦那さんに聞けば、母さんが犯人じゃないって言ってくれるよ!」
しかし、大人たちは黙ったままです。
よっぽど容態が悪いのでしょう。
重傷の旦那さんが亡くなれば、殺人罪も加わって、死刑が執行されるそうです。
ぱっと離れた子供は、わたしの前にひざまづきました。
頭を垂れて、祈ります。
「聖女さま、母さんを、助けてください。
どうか、どうか、お助けください・・・」
ぎゅっと手を組んで、必死で涙をこらえて、何度も、何度も。
・・・わたしの両手はちいさくて・・・
子供を抱きしめることも出来ません・・・
でも、ぽっ、と胸が暖かくなり、小さな白い珠が前に浮かびました。
ふわり、と浮かんだ珠は、そのまますうっとどこかに飛んで行ってしまいます。
ラウスさんとおばあさんには、見えなかったみたいです。
でも子供は、わたしのマントに入ったことがあるからか、珠に気付いて、ぽかんと口を開けて見送っていました。




