その17
その17
次の日は朝からつめたい雨です。
「・・・うーん・・・」
でも子供は、わたしのマントの下で、ぬくぬくとあたたまって目を覚ましかけています。
茶虎の猫が何匹も周りを囲って、猫のおふとんになっているのです。
「・・・かあさん・・・」
つぶやいた子供はぼんやりと眼を開き・・・
はっと人影にきづいて飛び起きました。
猫たちがあわてて逃げていきます。
「おはようさん、聖女様」
いつものおばあさんです。
『おはよう、おばあさん』
逃げ道を塞がれた格好になって、子供は毛を逆立てて怒った子猫みたいになってます。
「オレ、オレは捕まらないからな!
ぜったいに孤児院なんかいかないからな!」
子供を無視しておばあさんはお供え台に、ミルクのお皿をことん、ことん。
あれ?ふたつ?
ひとつはお匙がついた深皿です。
「捕まえる気などないわ、めんどうくさい。
ほれ。これを持ってあっちへいっとれ。
掃除の邪魔だわい」
子供はお皿とおばあさんを交互にみつめ
ばっ、と攫うようにお皿を抱えて、奥へ逃げました。
中身は温かいパン粥みたい。
あ。
子供がにぎった木のお匙には、笑う狐の顔がついています。
おとうさんが作ったお匙です。
わたしはうれしくなりました。




