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その12 火事
その12
かんかんかん、かんかんかん。
夜中に鐘の音が響きます。
「火事だ!」
「正門近くで火事だ!」
みんなあわてて走っていきます。
わたしは正門とは反対の側を向いているので、様子がわかりません。
騒ぎはどんどん大きくなり、煙りのにおいがしてきます。
『みんな、ここへきて。散らばらないで』
猫たちを集めて、青いマントの下に入れます。
すすや、火の粉まで飛んできます。
燃え移ったら大変です。
『火の粉よ、消えて。
燃え移らないで、広がらないで。
風よ、吹かないで。
火よ、静まって』
わたしは必死で願います。
柱に彫られたわたしは、逃げることが出来ません。
『こっちに来ないで、こっちに来ないで』




