カードを受け取りました。
ギルド長、エドワードと名乗った男は少年らを手招きして部屋に入らせた。
「エリーさんはクエストの仕分けの業務に戻りなさい」
「はい、ギルド長!」
エドワードはエリーに元の業務に戻るように指示を出した。
エリーは返事をして階段の方へ走って行った。
その後、階段を降りる音が聞こえる。
どうやら彼女は下の階へと急いで行ったらしい。
エドワードは次にリマロにその鋭い視線を向けた。
「そこの執事服の方、貴方はどちら様ですか?」
「はい、私は領主であるカリバンジャル・ドム・フランディル・カルバッハ様の執事のリマロと申します。
領主の命にて、こちらのミタマ君の付き添いでギルドに来ました。」
リマロは慣れたように流暢にエドワードの質問を軽く会釈をして答えた。
「なるほど、そうですか。
では、君の名前はオソレガミ・ミタマ君でよろしいですか?」
「はい!
………あれ?」
少年は元気に答えた。
しかし、目の前の知らない男が何故自分の名前を知っているのか不思議に思ったのだろう。
首を傾げながら男を見つめた。
「では、オソレガミさん。
君のカードの作成は出来ました。
このカードを受け取って下さい。」
「はい、ありがとう、ございます」
少年は目の前の男が懐から取り出したカードを受け取った。
その際にペコリと会釈し礼を言った。
先程の疑問もカードを見せられて消えてしまったようだ。
そのカードは薄い物では無くしっかりとした厚みのある丈夫なカードだった。
少年はカードを手に取りそこに書かれている物を見た。
「う〜ん、よめない」
どうやら少年には読めない文字で書かれているらしい。
エドワードはその様子を見て少年のカードに対する知識があまりない事を察した。
そして異形はその黒く異様に大きな手で少年の顔を挟み込んだ。
「それはステータスカードという物です。
君の能力を神様が数値化した物が書かれています。
次に………」
そして異形が手を開くと少年はカードの文字が崩れたように見えた。
そして文字の動きが止まった。
「お、そ、れ、が、み、み、た、ま。
うわぁ、ぼくのなまえが、ほんとーに、かいてある!」
「………今、なんと言いましたか?」
エドワードは少し目を見開いて少年に尋ねた。
少年の背後に居たリマロは信じられない物を見たかのような顔付きになった。
「このカードに、ぼくのなまえが、かいてあるの!」
「………なるほど。
君は、それが読めるのだね?」
エドワードの雰囲気が、声音が、口調が少し変わった。
それはまるで獲物を見つけた飢えた獣のような。
それも直ぐに元の慇懃で人を食ったような雰囲気に戻ったが。
「さて、カードの内容は上から名前、種族、性別、年齢、ジョブ、ランク、パラメータ、スキル、その他の順に載っています。
カードについて質問はありますか?」
「はい!
なまえのしたに、かいてあるものが、わかりません!」
「分かりました。
少々、カードについて説明するので長く話します。
まず、種族とは君の種族の事を指します。
君の種族はヒューマンです。
カードの種族欄、名前の下にヒューマンと書かれていますね?」
「はい!」
「次は性別です。
君は男の子です。
ヒューマンの下にオスと書かれていると思います。」
「はい!」
「次に年齢です。
君の年齢が表示されます。」
「はい!
あれ?」
「年齢は気にしないで下さい。
ジョブ、ランクについては後日、講習会を開く予定なのでその時に聞いて下さい」
「はい!」
「パラメータは上から
LP、MP、STR、VIT、DEX、AGL、INT、HIT、LUKです。
これも講習会で各パラメータが説明されますので省きます」
「はい!」
「スキルは君の所有するスキルが表示されます。
カードに『スキル・オン』と言えば君の全てのスキルを見る事が出来ます。
しかし、使い方の分からないスキルは使ってはいけません。
ギルドでスキル鑑定を行っていますので聞きに来てください
ギルドにはスキルの練習場もあります。
是非ご利用して下さい。」
「はい!」
「最後に、その他は色々と表示されますので後日、聞きに来て下さい」
「はい!」
「では、遅くなりましたがこちらは貴女のカードです。
どうぞ」
エドワードは異形に対してカードを差し出した。
しかし、異形はカードを受け取らず少年を抱き締めたまま動かない。
そして少年にはエドワードが少年の頭の上の方でカードを持っているようにしか見えない。
「仕方がありません。
オソレガミさん、これをどうぞ」
途方に暮れたエドワードは少年に異形のカードを渡した。
「はい!」
「さて、ここからは私個人の話になりますがよろしいですか?」
「はい!」
そう少年はエドワードに答えてしまった。
エドワードは一瞬だけ、ほんの少しだけ嗤った。




