ギルド長、エドワードさん。
少年と少年に抱き着いた異形、リマロは女の子の後を追った。
ギルドのカウンターの奥には階段と廊下があった。
「こっちです」
階段を登りながら女の子は少年達を案内する。
幼い少年が登るには少々キツイ構造の階段に少年は思わず立ち止まってしまう。
その事に異形は気付いたのだろう。
少年をその黒く異様に大きな手で抱き抱え、そのまま階段を登っていった。
「あ!
リマロおにいさん、ありがとう!」
どうやら、少年は背後に居たリマロが自分を抱き抱えてくれたと思ったらしい。
リマロに感謝の言葉を伝えた。
「いえ、私では………ヒィッ!?」
リマロは実際には異形が少年を抱き抱えているという現実が見えている為、否定の言葉を言いそうになった。
しかし、異形の首がまるで梟のように一回転してリマロを睨みつけてきた。
その光景にリマロは思わず悲鳴をあげそうになり、必死に押し殺した。
ここで悲鳴をあげれば間違いなく少年は後ろを振り向くだろう。
そうすれば異形の見えない少年は宙を浮いていると勘違いして暴れてしまうかもしれない。
怪我を負わせればギルドに付き添いで来た自分が領主に責任を問われる。
その一瞬でリマロは考えたのだ。
どうやら、異形は少年からの感謝を否定しようとした事が気に障ったらしい。
それからゆっくりと首を元に戻しつつ少年を上の階へと運んで行った。
「ここがギルド長の部屋です。
ギルド長!
例の方々をお呼びしました!」
女の子は階段を登った先のある重厚な扉の前に立ち止まって目的地に着いた事を少年達に伝えた。
そして扉の先に居ると思われるギルド長に声をかけた。
「はい、分かりました。
少々お待ちを。
………では入室して下さい」
入室の許可を得て女の子は扉を開けた。
部屋は壁に大きな棚が置かれていてそこには綺麗にしかしぎっしりと色々な物が詰め込まれていた。
何かの巨大な骨、ボロボロで鎖で雁字搦めにされた本、不気味な球体が幾つも入った小瓶、人の顔が張り付いている盾、女の裸体が象られた杖、そして真黒に染められヒビ割れた玉など。
そして部屋の奥には一人の目付きが鋭く痩せた若い男性が椅子に腰掛けていた。
「初めまして、私はこのバタンダ領のギルド長、エドワードと申します。
以後、お見知り置きを、小さな英雄さん」
男は慇懃に、そして不敵に笑い人を食ったような態度で少年達を迎えた。




