少年よ、館を脱出せよ!
部屋に二人、ポツンと少年と少年に抱き着いた異形がベッドの上に座っていた。
「たいくつだな〜」
少年が寂しそうに呟く。
仕方あるまい。
少年は遊び盛りの年頃なのだから。
何もせずに一人で居るのは退屈なのだ。
少年にとって異形の姿は見えない。
一人で部屋に居て孤独や寂しさを感じてしまうのだ。
しかも、周囲には子供が遊べるような玩具が無い。
客室としては物品は十分に備わっているが託児所としては意味を成さない。
託児所として作られていないので当たり前である。
「う〜ん、あそびにいこっ!」
少年はベッドから降りて部屋を出た。
遊び相手が居ないなら探すという事にしたようだ。
「ミッション!
みつかっちゃダメで、そとにでる!
だいだっしゅつ!」
どうやら少年は誰にも見つからないようにこの館から外に出るようだ。
そして何かの踊りだろうか。
手足を動かし身体を捻り跳んだりしゃがんだりした。
そしてその少年の言葉は遊びのつもりで言った言葉なのだろう。
しかし、その言葉に異形は反応した。
なんと少年の身体が端から見えなくなってゆくではないか。
そして少年の姿が完全に消えると次は異形の姿も消えてゆく。
「ゴー!」
踊り終わった少年は閉まっている扉へと走り勢い良く扉を開けた。
そして扉の反対側に急いで隠れた。
「あれ?」
なんと扉を開けた隣に若い男性が立っていたのだ。
多分、少年が困った時に駆け付けられるように付けられたのだろう。
「なんで開いたのかな?
えっと、こんにちは、何かお困…り?
え、誰も居ない!?」
男は扉だけ勢い良く開いた事に不審に思い部屋を覗いた。
そこには少年の姿は見えず、もぬけの空になった部屋だった。
男は驚いて少年が窓から出たのではないかと思い窓のほうに近づいていった。
男が部屋を見回している間に少年は廊下を走った。
今の若い男性に会ったのは見つかってない事にしたらしい。
実際には見えていなかったのだが。
少年は外を目指して異形を引き摺って走って行った。
その姿を館の中の者は見る事が出来なかった。




